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捕らぬマイルの皮算用~知識のANA埋め~

SFC修行、マイレージ、クレジットカード、資産運用、デジタルガジェットなどの知識の補足用ブログ

男が育児休業をするという選択について真剣に考えてみた

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お仕事をしている女性が妊娠した場合に欠かせないもの、その代表が産休(産前産後休業)と育休(育児休業)です。
しかし最近では、特に男性の育児休業取得なども話題になったりします。
突き詰めていけば男女の雇用機会とか社会への共同参画とかデリケートな部分も多くありますが、少し考えてみる機会があったので記事にしてみます。

妻の妊娠と育休取得の勧め

ある日、職場で一緒に働いているスタッフから、こんな一言をかけられました。

「Romulusさん、育休取らないのですか?」

え、育休?オレが?
正直全く考えたことがありませんでした。奥様が妊娠してから、奥様本人の産休育休のスケジュールは確認したりしましたが、自分が取るというのは夫婦ともに全く頭にありませんでした。

というかそもそも自分、産休も育休も大してよくわかってないな・・・、と。
産休と育休に関する基礎知識をつけて、男が育休を取るということについてちょっと考えてみることにしました。

「産休」「育休」の基礎知識

まずこの2つ、いわゆる「産休」「育休」について、その基礎知識と違いを確認します。
※育休は「育児休暇」と言われることも多く、検索しても「育児休業」と「育児休暇」で大体同じくらいの件数出てきます。
厚生労働省のガイドブックなどでは「育児休業」とされているので、以下、表記を「育児休業」で統一しています。

産休(産前産後休業)

産前休業・・・出産予定日の6週間前(多胎=双子以上の場合14週間前)から、請求すれば取得できる。
産後休業・・・出産の翌日から8週間は就業できない。(6週後以降は、本人が請求し医師が認めれば就業できる)
(厚生労働省作成のパンフレット「あなたも取れる!産休&育休」より引用)

「産休」は、正確には「産前産後休業」という名称で、基本的には産前6週間(=42日)、産後8週間(=56日)の休業のことをさします。
産前休業は「出産予定日の6週間前から」なので、予定日よりも早く出産した場合は必ずしも42日間とはなりません。
また「請求すれば取得できる」という書き方になっているのは、必ずしも取得しなければならないというものではないためです。
実際にそんなヘビーな産休の取り方する人がいるのかなという気もしますが、産前休業を全く取らないということも可能です。

次に産後休業ですが、産後休業の開始は「出産の翌日から」なので、出産が本来の予定日よりも遅れた場合でも、産後休業が56日より短くなることはありません。
また、どんなに短くしたくても「出産の翌日から6週間」は就業できません。

まとめて言えば、通常の産休とは「出産予定日の6週間前から、出産の翌日の8週後まで」を産休、ということになります。

そして男は出産するわけではないので、産休は当然、出産する本人だけが取得する休業ということになります。

育休(育児休業)

1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は 、会社に申し出ることにより、子どもが1歳になる までの間で希望する期間、育児のために休業できます
(厚生労働省パンフレット「あなたも取れる!産休&育休」より引用)

「男女労働者」と書かれている通り、育児休業は男も取得することができます。

育休の基本的な期間は、生まれた子どもが1歳になるまでの間(=1歳の誕生日の前日まで)です。
ただし条件を満たせば1歳2ヶ月、または1歳6ヶ月までの間、延長することもできます。
・1歳2ヶ月まで延長する条件
父母がともに育児休業を取得する場合。(通称「パパ・ママ育休プラス」)
※ただし、父母1人ずつが取得できる期間の上限はそれぞれ1年間。母はその1年間に出産日と産後休業期間を含む。
・1歳6ヶ月まで延長する条件
1.保育所等の利用を希望しているが、入所ができない場合
2.常態として子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降子を養育する予定であった者が死亡、負傷、疾病等により子を養育することが困難となった場合
保育所に入所を希望し,申込みをしているが,入所できない場合。または、子の養育を行っている配偶者が,やむを得ない事情で養育が困難となった場合

さらにこの育児休業期間の延長は、2016年7月に現行の1年6ヶ月から最大2年程度まで延長する方針が示されていました。早ければ2017年の通常国会中にも改正法案が提出される予定のようです。

育児休業を取得するための条件は、現在は以下の2つを育児休業を申し出る時点で同時に満たしている必要があります。
2016年3月の法改正で取得条件が緩和され、2017年1月1日から施行開始されているものです。

1.同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
2.子が1歳6ヶ月になるまでの間に、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないもの

参考として、以前までの条件が以下の通り。3つ同時に満たす必要がありました。

1.同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
2.子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
3.子どもの2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了していて、かつ契約が更新されないことが明らかでない


「1年以上同じところで働いている」という条件は変わりませんが、雇用契約があるかないかわからない人でも育児休業の取得が可能になった、という点での要件緩和のようです。

対して、「育児休業を取得できない条件」は以下の通りです。

1.雇用された期間が1年未満
2.1年以内に雇用関係が終了する
3.週の所定労働日数が2日以下
4.日々雇用される者(=日雇い労働者)

男女同時に育児休業を取得するという選択

男が育児休業を取る、というのを聞いた時に一番最初に浮かんだのが「男が育児休業取るってことは、奥さんはすぐ職場復帰するってことなの?」ということでした。
夫婦のどちらかが取るもの、というイメージがあったための思いこみでしたが、育児休業は男女同時に取得することもできます。

休んでいる間に最も心配になることの筆頭はやっぱり「お金の問題」ですが、雇用保険に加入している場合に受け取ることができる「育児休業給付金」も、両方が受け取ることができます。
育児休業給付金は「育児休業を取得すること」に伴う給付金なので、それぞれで受け取ることができる、ということなんですね。

H26年4月から、育児休業給付金の支給率は開始後6ヶ月間において50%から67%へ引き上げられています。(育児休暇取得開始から6ヶ月間は67%もらえて、その後は50%に下がる)
細かい算出条件は省きますが、育児休業中は各種手当含めた現在の給料の67%または50%がもらえるということになります。
また育児休業給付金は社会保険料が免除になるので、手取り金額で考えた場合には単純に現在の給料の67%(50%)になるというわけではなくもう少し多くなります。

自治体によっては「(夫婦がそれぞれ開始から6ヶ月間67%もらえるので)半年ずつ2人で分けて取得すれば、育児休業給付金の支給率を1年間67%にすることも可能です!」と、取得を促しているところもありますね。
このあたりは取り方次第ですが、夫婦ともに育児休業を取得する場合は「パパ・ママ育休プラス」によって1歳2ヶ月まで育児休業を延長することができるので母親が産休56日後から半年間を取得、父親がその後半年間取得、というような形で取るという形も可能です。
育児休業を取得することができる期間は、父親は1年間、母親は 出産日・産後休業期間を含む1年間が上限ですが、その範囲内では(制度上、ではありますが)自由に設定することができます。
取得回数は原則として1回ですが、例外として、出産後8週までの間(=産後休業期間中)に父親が育児休業を取得した場合は、理由なく二度目の取得が可能、と言う規定もあります。
制度としては「取得することができる」ものは増えていますが、保育園に入ることができないために育児休暇を延長するということもありますので実際にはそこまでうまく期間を設定できないということも多いかと思います。

男が育児休業を取得するメリット

制度としてはどんどん拡充される方向になっていて、徐々に増加傾向ではありますが、男性の育児休業取得率は大きく向上せず大体4%程度で推移しています。
男女共に育児休業の取得率が向上していることや、女性正社員の81.2%、女性非正社員の28.8%が育児休業を取得しているという事実と比較するとまだまだ一般的とは言い難い状況です。
育休取得者数が多い企業のランキングが発表されることもありますが、取得期間はほとんどが1週間以内。育児休暇というよりは有休消化に近い状態、というところでしょうか。
ただし、少しでも始めていくことが大事、という見方もできます。
まずは「育児休暇を男が取ること」のメリットを考えてみます。

・子どもと触れ合う時間を長く取ることができる
・家事を「夫がメイン」として行うことができる
・産後精神的に不安定になりがちな妻を支えやすくなる
・両親ともに触れ合う時間が長い方が子どもにもいい影響がある(はず)
・父親としての自覚を持ちやすい

「イクメン」という言葉も最近では一般的になっていますが、今や、家事に参加するというのは当たり前のことになっているかなと思います。まして共働きなんだったら当然だろうなという感覚です。普段の家事でもそうでしょうが、よく家事や育児を「手伝う」という表現を使われることも適切じゃないんじゃないかと思ったりしますね。「夫が家事や育児を手伝う」って言葉からは「本来は妻の仕事なんだよ」という印象を受けますが、なんで妻の仕事って決めつけてんの?それ、夫の仕事でもあるんだよ。という気がします。
妻が専業主婦の場合は、ある程度は「妻は家で洗濯と掃除をし、夫は会社に金を稼ぎに行きました」という感じで分業みたいになったり、比率が偏るのも仕方ないかな、とは思いますが。

男が育児休業を取得することの一番のメリットは、休業することで得られる時間を家族へのサポートに回すことができる、ということに他ならないわけですが、特にやっぱり奥さんへのフォローをしやすくなるということが一番大きいんじゃないかと思います。得手不得手もあるので必ずしも直接育児を行うということだけでなくても、子どもがいなくても普段からやっているような家事をメインでやるとか、現実的にそばにいないとできないことっていうのがたくさんあるので、特に仕事が忙しくてなかなか帰れないとか、不規則な時間帯の仕事があるとか、そういう場合に特にメリットを強く感じられるんじゃないかと思います。

男が育児休業を取得するデメリット

対して、男が育児休業を取得するということのデメリットを考えてみます。

デメリットは大きく分けると2つの柱があるかと思われます。

・収入の問題
・仕事(出世)の問題

収入の問題は、昨今は男女共働きということも多いのでむしろ女性の方が収入が高いという場合も多くなってきているんじゃないかとも思いますが、やっぱりどちらかと言えば現実的に「出産後は夫の収入がメイン」ということが多いのではないでしょうか。
育児休業給付金として、半年間は67%、その後は50%支給される分は社会保険料が免除になるということもあってこの給付金による収入の存在は非常に大きいですが、取得前から比較して金額が少なくなるということは避けられません。それが夫婦同時に、という形になるとなおさらです。
育児休業によって得られる時間と、それによって減ってしまう収入をどう捉えるか、という問題になるかと思います。

仕事の問題は、育児休業を取得することで得られなかった仕事の経験がどこまで影響するか、ということになるかと思います。

一応法律的には「妊娠又は出産したこと、産前産後休業又は育児休業等の申出をしたこと又は取得したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをすること」は、禁止されています。
(男女雇用機会均等法第9条第3項、育児・介護休業法第10条)

男女雇用機会均等法=正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」。

第九条  事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2  事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3  事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4  妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。


育児・介護休業法=正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」。

(不利益取扱いの禁止)
第 10 条 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、 当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

禁止されている内容としては
・解雇
・契約更新回数の引き下げ
・降格
・減給
・賞与等における不利益な算定
・不利益な配置変更
・不利益な自宅待機命令
などです。

実際のところ、男性の育児休業取得を増やす方向になってはいるものの、このあたりがやっぱり厳しいんじゃないかなーと思います。
収入が減るという問題は節約するなどして支出を減らせばある程度対応できますけど、仕事の問題は目に見えないことも多いので難しいですね。

男の育休取得はネガティブなこともたくさん検索されていて「男 育休」で検索したら予測検索で「男 育休 迷惑」とか出てきたりします。男に限らずとも、マタニティハラスメントとか今問題になったりしますけどね。
出世を決める「評価」は自分ではなく他人がするものなので、それを評価する上司が「同じ能力の人が2人いたとして、育児休業を取得していたかどうかだけが違うとしたら、育児休業を取得していない方を出世させる」と評価する人だったら、結果として出世街道からは外れてしまうわけです。もちろん「育児休業を取得していたから出世させません」と言ったら法律違反なので直接そうは言わないわけですが、そのへんいくらでも取り繕えちゃうんじゃないかな、という気がします。

現実的に、育児休業している間は当然仕事ができないわけなので、いくら不当な扱いをしないと定められているとは言え(=「正当な扱い」をしたところで)「仕事をしていなかった期間」がなくなるわけではないわけですよね。
その期間、育児休業したがゆえに経験できなかった仕事があったとしたら。
結果的にそれが、出世につながるような大きい出来事だったとしたら。
あるいは自分と同程度出世の可能性がある人材がいたとして、そちらだけが経験している仕事があったとしたら。

そういう不安を感じたら、まあ、なかなか取りづらいですよね・・・。自分の場合、特にそこで半年や1年休業したところでそれほど大きな何かがあるか?と言われると「いや、どうだろうね。たぶんなさそうだけどわからない」ということしか言えませんが、それでもたぶん、やっぱり取らないだろうなと思います。現状、早く帰宅する努力をすれば、残業はそれなりに減らせるかな?という気もしますし。奥様が取ってほしいという希望をしているならまだ積極的に考える要素がありますがそういうわけでもありませんし。(おそらく多かれ少なかれ、実際に出産した後は「旦那がもっと家にいたらいいのに」と思うことはたくさんあるとは思いますが)

どんな仕事をしているか、職場や会社の雰囲気はどうか、夫婦間の育児休業に対する認識の差はあるか、といったいろいろな条件によってもこれらの判断は大きく変わってくるかと思います。

まとめ

男が育児休業を取得する。真剣に考えてみましたが、得られる収入の変化と現状の仕事内容を勘案すると、自分は育児休業取得をしない、という形になるだろうなと思いました。
でもこのへんて考え方次第で、例えば「有休」を取れない・取りづらいと言っているのと同じことのような気もするのですよね。
有休も、やっぱり職場全体・会社全体で「積極的に取っていきましょう!」という雰囲気が出来上がってないとなかなか取れませんのでね。
育児休業もそれと同じで、まずは育児休業とは何たるかということをしっかり広めた上で雰囲気を作って、ってやっていかないとなかなか浸透しないですよね。
国が現状の2%そこそこの取得率から10%20%と上げていこうとしているだけあって、取るためのハードルは確実に下げられてはいると思うので、後は「育児休業を取得することのメリット」がデメリットをどこまで超えて行くか、ということになるのだろうと思います。

育児休業とは何であるか、ということをしっかりと知った上で、自分の置かれている状況からどちらにメリットが大きいかをしっかりと判断すること、「なんとなく」ではなくしっかりと納得できる選択をすることが大事なのかなと思いました。