SFC修行

地方空港でもSFC修行を諦めない!乗継旅割は救世主となるか

2016年11月27日

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ANAの運賃形態に「乗継旅割」というものがあります。

プレミアム旅割28、プレミアム株主優待割引、旅割75などの運賃に比べるとあまり知名度が高くないと思われるこの運賃ですが、SFC修行に活用できないかを考察してみます。

乗継旅割とは何か

国内線を使ったSFC修行に用いられる運賃の中で最も主流であると思われ、かつ個人的にもお勧めするのはプレミアム旅割28とプレミアム株主優待です。

特にプレミアム旅割28は、時期と路線によってはPP単価が驚異的に低くなる他、プレミアムクラスを安く利用するという意味でもかなり有用な運賃形態です。
修行スケジュールを詰め込んでたくさんのフライトを短期間に行うのなら、プレミアムクラスの利用の有無はその疲労度合いに大きく影響します。
「修行」という言葉からは、普通席を使った方がまあ、より修行らしくはなりますが・・・

しかしプレミアムクラスの席数は、普通席に比べて非常に限られます。
機材によっては普通席のみというものも少ないながらありますし、スターフライヤーやAIR DOといったようなANAグループ運航便にも設定がないため、路線によってはそもそも利用できないということがあります。

プレミアムクラスが設定されている便に対しては一応、販売開始日の14日前から座席を確保するような手段もあるにはありますが、これを使ってもなお確保が難しいということも多いです。

こういった場合は仕方がないので普通席を確保して、PP単価をなるべく低く抑えた上でSFC修行を行うことになるかと思いますが、この場合主に用いられる旅割系運賃の中で最も安い「旅割75」は購入可能な期間が搭乗75日前までで、かつ販売開始が半年に1回なので使い勝手があまりよろしくないんですよね。

そういった時に使える可能性が出てくるのが「乗継旅割」です。

満3歳以上のお客様が、同日中に乗り継ぐ指定された便の組み合わせ(2区間)を一括でご予約する場合にご利用いただけます。

運賃のご利用条件│航空券│ANA国内線

ANAが設定する乗継運賃には「乗継旅割」「乗継特割」「特定便乗継割引」という3つの設定があります。

f:id:romulus_k:20161127034051p:plain予約可能な期間によってこのような区分となっているため、運賃額としては「乗継旅割」が最も安く設定されます。

乗継旅割は「旅割」という名称からも推測できますが、旅割75をはじめとするいわゆる「旅割系運賃」と同じような運賃形態です。購入後の予約変更はできず、搭乗日54日前からは取消手数料がかかります。

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乗継、という名の付く通り設定された便を乗り継ぐ際に使うことができるというわけですが、この他に旅割系運賃と異なる大きな特徴として挙げられるのが、販売開始がプレミアム旅割28と同じ「搭乗同一日の2ヶ月前」である、ということです。

繰り返しになりますが旅割75の場合、半年分が一度に販売されるという関係もあって、かなり早い段階でスケジュールを決めておかないと予約が埋まってしまうということが非常に多いんですよね。
2016年10月30日から、55日前までの取消手数料がかからなくなったとは言え、一旦支払いをしてしまった後に取消すると払い戻し手数料が1区間あたり430円かかってしまいます。

その点、プレミアム旅割28や乗継割引のような販売開始日であれば、直近の予定に合わせた対応がやりやすくなります。
先々の予定が決まっていなくても、2ヶ月後付近の予定ならまだ確定しやすい、という場合も多いのではないかと思いますので、こういう場合にはありがたい販売開始日かと思います。

ただし乗継旅割の運賃設定は、PP単価だけを見るとそこまで優秀ではない場合が多いです。
乗継という関係上、設定されている数としてはプレミアム旅割28の倍くらい、2000以上ありますが、PP単価10円以下の便となると、月にもよりますがおおむね多くても数十程度に留まります。
PP単価の優秀な路線を洗い出すだけでも手間、というのが正直なところでしょう。

PP単価の優秀な路線がどの路線かと言えば、SFC修行の定番である那覇・石垣・宮古への各地からの路線がやはり圧倒的に多くを占めます。
2017年2月1日~2月28日の乗継旅割の場合、全部で40路線あるPP単価10円以下の路線の内、33路線が那覇・石垣・宮古を絡めた路線です。
残り7路線が新千歳⇔羽田⇔鹿児島・宮崎で、残りは全てPP単価10円を超えてしまいます。

羽田空港を筆頭に、主要な空港を起点にしたSFC修行の中で乗継旅割が第一選択となる場合は、決して多くないと言えるでしょう。

地方空港起点の場合は話が別・・・かも?

しかしながら、これが地方空港起点だったらどうでしょうか。
元々地方空港は路線数も限られているため、主要な空港に比べると非常にPP単価が悪い場合が多く、SFC修行自体をためらってしまうこともあります。
PP単価30円とか40円とか、とても修行用としては活用できないような便がゴロゴロありますからね・・・

例えば北海道の北端、稚内空港起点でのSFC修行を考えてみましょう。
対象の期間は2017年2月1日~2月28日です。
(2017年修行スタートダッシュ!ということで1月にしたいところでしたがPP単価の計算が間に合いませんでした)

稚内空港の就航路線は非常に限られていて、ANAしか乗り入れていない上に現状「新千歳⇔稚内」が1日2往復と「羽田⇔稚内」が1日1往復の2路線だけです。

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f:id:romulus_k:20161127034831p:plainさらに、新千歳⇔稚内は旅割75の設定がありません。旅割55は設定がありますが、運賃11600円~11900円、PP単価にして45.31円~46.48円というかなりのPP単価の悪さです。
羽田⇔稚内は旅割75の設定もありますが、PP単価は往復共に12.57円~15.82円とあまり優秀ではありません。旅割55になると、13.26円~16.31円とさらに悪化します。

出発
空港
到着
空港
獲得
PP
便名 旅割75
下限額
旅割75
上限額
PP単価
(下限)
PP単価
(上限)
稚内 羽田 1018 572 12,800 16,100 12.57 15.82
稚内 新千歳 256 4842 設定なし 設定なし なし なし
稚内 新千歳 256 4844 設定なし 設定なし なし なし
羽田 稚内 1018 571 12,800 16,100 12.57 15.82
新千歳 稚内 256 4841 設定なし 設定なし なし なし
新千歳 稚内 256 4843 設定なし 設定なし なし なし
出発
空港
到着
空港
獲得
PP
便名 旅割55
下限額
旅割55
上限額
PP単価
(下限)
PP単価
(上限)
稚内 羽田 1018 572 13,500 16,600 13.26 16.31
稚内 新千歳 256 4842 11,600 11,900 45.31 46.48
稚内 新千歳 256 4844 11,600 11,900 45.31 46.48
羽田 稚内 1018 571 13,500 16,600 13.26 16.31
新千歳 稚内 256 4841 11,600 11,900 45.31 46.48
新千歳 稚内 256 4843 11,600 11,900 45.31 46.48

プレミアム旅割28になると、
新千歳⇔稚内が17.53円
羽田⇔稚内が9.78円~11.35円です。

出発
空港
到着
空港
獲得
PP
便名 プレミアム
旅割28
下限額
プレミアム
旅割28
上限額
PP単価
(下限)
PP単価
(上限)
稚内 羽田 2097 572 ¥20,500 ¥23,800 9.78 11.35
稚内 新千歳 827 4842 ¥14,500 ¥14,500 17.53 17.53
稚内 新千歳 827 4844 ¥14,500 ¥14,500 17.53 17.53
羽田 稚内 2097 571 ¥20,500 ¥23,800 9.78 11.35
新千歳 稚内 827 4841 ¥14,500 ¥14,500 17.53 17.53
新千歳 稚内 827 4843 ¥14,500 ¥14,500 17.53 17.53

羽田⇔稚内ならまだ、使えるかな?という感じですね。

乗継旅割の設定を見てみると、稚内から羽田を経由して那覇に向かう場合でPP単価7.42~8.74円と、かなり優秀になります。
使う便は、ANA572便稚内12:55→羽田14:55とANA477便羽田15:55→那覇18:45です。










便

便

PP
PP
合計
PP
乗継
旅割
下限額
乗継
旅割
上限額
PP
単価
下限
PP
単価
上限
稚内 羽田 沖縄 572 477 1018 1476 2494 18,500 21,800 7.42 8.74
稚内 新千歳 名古屋 4844 714 256 921 1177 14,500 14,500 12.32 12.32
稚内 新千歳 神戸 4842 4820 256 999 1255 14,500 17,000 11.55 13.55
稚内 羽田 鹿児島 572 627 1018 901 1919 25,400 29,100 13.24 15.16
稚内 新千歳 福岡 4842 290 256 1323 1579 23,100 24,200 14.63 15.33
稚内 羽田 長崎 572 667 1018 915 1933 25,800 31,200 13.35 16.14
稚内 新千歳 羽田 4842 64 256 765 1021 14,500 16,800 14.20 16.45
稚内 羽田 小松 572 755 1018 316 1334 18,700 22,000 14.02 16.49
稚内 羽田 熊本 572 3717 1018 852 1870 26,600 31,200 14.22 16.68
稚内 羽田 佐賀 572 455 1018 876 1894 26,500 32,300 13.99 17.05
稚内 羽田 福岡 572 261 1018 850 1868 26,500 32,300 14.19 17.29
稚内 羽田 大分 572 797 1018 748 1766 26,000 31,200 14.72 17.67
稚内 新千歳 関西 4844 1720 256 999 1255 18,400 22,500 14.66 17.93
稚内 羽田 伊丹 572 33 1018 420 1438 22,900 26,300 15.92 18.29
稚内 新千歳 羽田 4844 78 256 765 1021 14,500 18,900 14.20 18.51
稚内 羽田 高知 572 567 1018 589 1607 26,100 29,800 16.24 18.54
稚内 羽田 徳島 572 285 1018 493 1511 25,300 29,200 16.74 19.32
稚内 羽田 米子 572 385 1018 576 1594 26,600 31,300 16.69 19.64
稚内 羽田 関西 572 3827 1018 420 1438 24,400 28,600 16.97 19.89
稚内 羽田 鳥取 572 297 1018 492 1510 28,000 32,600 18.54 21.59
稚内 新千歳 仙台 4844 4810 256 502 758 14,500 16,600 19.13 21.90
稚内 新千歳 富山 4842 1182 256 739 995 19,100 24,700 19.20 24.82
稚内 新千歳 小松 4842 1174 256 793 1049 20,500 26,700 19.54 25.45
稚内 新千歳 女満別 4842 4865 256 222 478 20,300 20,300 42.47 42.47
稚内 新千歳 女満別 4844 4867 256 222 478 20,300 20,300 42.47 42.47
稚内 新千歳 釧路 4842 4873 256 204 460 20,300 20,300 44.13 44.13

羽田→那覇の同じ路線をプレミアム旅割28で確保した場合でPP単価は9.00円~9.66円ですので、これを上回る優秀さとなるんですね。
獲得PP数が違いますのでプレミアム旅割28も十分に検討の余地があるかと思いますが、普通席の利用に限って見た場合、旅割75利用と乗継割引利用の場合のPP単価に大きな差があります。
(それにしても稚内と那覇って、羽田経由してプレミアムクラスで行って帰ってくるだけで9914PPも貯まるんですね・・・)

ただしやっぱり難点はあって、帰りも同じく那覇→羽田→稚内の乗継旅割を設定しておいてほしいところなのですが、こちらは設定がありません。設定がないというか、羽田発の時間が早すぎて那覇からの接続ができないんですね。
このあたりは乗継旅割の設定がどうこう、というよりは地方空港ならではの便数の少なさが修行を難しくする要因かと思います。
ある程度の日程を確保して数日かけたフライトを行うか、かなりの修行路線になっても少ない日数で行うか。このあたりは便数と接続時間とのにらめっこになるかと思います。

まとめ

今回検証したのは稚内空港だけではありますが、ある程度有用な可能性はあったものの、乗継旅割のおかげでSFC修行が俄然やりやすく!というところまでは至りませんでした。
主要空港に比較して、PP単価をある程度高いところまで許容する必要があるという点は、やはり地方空港起点の場合の弱点であると言えます。
そもそも乗継が可能か、とか、旅割の設定があるか、プレミアム旅割28の設定があるか、といったところを考慮すると路線の検討にもかなり時間がかかります。

このあたりの検討は、どの地方空港を使うかというところを起点にして
・対象空港に関係する旅割(75だけでなく55なども)の運賃、PP単価
・対象空港に関係するプレミアム旅割28、プレミアム株主優待の運賃、PP単価
・対象空港に関係する乗継旅割の運賃、PP単価
これらを全て洗い出して、詳細に検討していく必要があるかと思います。
中でも乗継旅割の運賃は2000以上設定があるため、ブログで役に立つ情報を出すのが難しいなあ、というところですね。

空港によってはかなり有用なケースもあるかもしれないので、少しでも多く検討してみたいなと思います。

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