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働く20代のメンタルコントロール術 レビュー

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田中ウルヴェ京著【働く20代のメンタルコントロール術】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・読みやすい、メンタルコントロール術
・個別の対処事例よりは、広めに捉えた視点の部分の方が共感できる
・起こっている事実を客観視して捉える習慣を持つことが、楽に生きるコツ

メンタルコントロール自体は、本書のメインターゲットであろう「働く20代」以外にも有効なものですが、文体が平易で読みやすいので概要を知るのに役に立つ一冊だなあという印象です。
中で取り上げられている「仕事上、ストレスになることが多いあるある事例」については、「そうできれば苦労しないんだよなあ・・・」と感じるものもあったので、これだけ読んでおけば明日から大丈夫!ということにはならないかと思いますが、他の本と組み合わせて使うといいかな、という感想を持ちました。

レビュー詳細

著者の田中ウルヴェ京さんは、元シンクロナイズドスイミングの選手で、20代の頃は選手として活躍された後に引退、選手を育成する側へとなり、現在はメンタルコーチとして活躍されている方です。

僕はもう30代も半ばでもう「20代」では全然ないので、本書が想定する読者層とはちょっと離れているのですが、本書を読んだ理由は「20代のうちに読んでおいた方がいいことを、知っていなかったら損してるんじゃね?」というものです。
結果から言えば、感想は「知識としては知っているものが多かった。考え方として、現在主流になっているメンタルへの捉え方を優しくまとめたもの」です。

まあ20代にせよ30代にせよ、人生を生きていればそれなりに苦難というか、ストレスに感じたりメンタルにダメージを食らっているなあと感じる出来事はそれなりの数あるわけで、そういう「ああ、こういうことってあるよね」という時の考え方のヒントとしては、役に立つだろうなと思いました。
書かれている文体は優しく、とても読みやすい本です。

ただし、クレーム対応とか、自分が自身にかけている「セルフトーク」についてなど「こういう時にはこういう考えをしましょう」というような書き方があって、「わかっているけど、そういう捉え方ができないから困るんだよなあ・・・」という感想を持つ部分もそれなりにあります。
他の本で学んだことをこの本にプラスして、物事の捉え方を変えていったら楽になるよ、ということなのだよなという理解になった部分も多いので、「メンタルコントロールを学ぶには、この本一冊でOK!」という類のものというよりは、20代が「メンタルって、コントロールできるものなんだよ」ということを学ぶきっかけとして役に立つ本なのかな、という印象です。
この本の発売と同じ2013年には「嫌われる勇気」が発売になり、そこからはアドラー心理学がものすごく広まっているような印象が、僕のとても狭い価値観の中にはありますが、アドラー心理学の本、NLPの本あたりも一緒に読むと、「今苦しんでいる自分」を一歩引いた客観的な目で捉えられるようになったり、「自分を苦しめているアイツ」が、自分の中にあるただの思い込みであって、それを勝手に作り出しているのは自分である、というような捉え方ができるようになるかなあと思います。
もしも、今、ドヨーンとしているのであれば、それは素晴らしいことです!なぜならそれは、「今の自分は落ち込んでいるな」と気づけているということ。実はそれだけで素晴らしいことなんです!それがメンタルコントロールする上での最初のステップになります。
(Kindle版より引用 位置No.152〜)

本書の冒頭にこのような記述があります。

「自分はストレスを感じているな」という認識を、できているということ。まずはそれについて「自分で自分を認める」ということが、メンタルコントロールには役に立ちます。

ひとつ、勘違いしていただきたくないのが、「メンタルコントロール」は、我慢をすることではないということです。
(Kindle版より引用 位置No.291〜)

ここ、重要だなあーと思いましたね。他の本でのいわゆる「仕事術」的なものであったりとか「夢はこうすれば叶う!」みたいな自己啓発本であったりとか、人生をより豊かにするための方法論というのは数多くあります。ダイエットをする方法も筋肉をつける方法も勉強法もたくさんあります。

でもそれらは全て「我慢してやっている」という感覚である限り、長続きしない。どうやって今置かれている状況、今まで「頑張って我慢している」という状況としか思えなかったそれを、「楽しくてたまらない!」と思えるようにするか。その捉え方は、どうやったら変わるかという部分を考えていくことが、根本を解決するのに有効だというのが、今の僕の考え方です。

ストレスが大きくなるのは、「自分ではどうにもできないこと」にとらわれているときです。メンタルコントロールでは、自分ができること、できないことをきちんと仕分けし、できることに集中することで、モチベーションの維持や達成感を得やすくなります。
(Kindle版より引用 位置No.334〜)

これも最近になって自分が実践して「いやー楽になったなあー」という実感がある部分です。
代表的なのは「人にどう思われているかが気になって、ストレスになる」というやつでしょうか。相手にどう思われているかは、本当はどうなのかわからないし自分には他人はコントロールできない(他人は変えられない)ので「気にしない」という選択が有効であり、かつ「できる」のですが、どうしてもそれが気になってしまう。そしてそれが、自分の行動にブレーキをかけてしまう原因になっている。

ここをどうやって「気にしない」という感覚にしていくか、というところが課題となるわけですが、僕の中でのカギは「自己肯定感」です。まずは自分で自分を認めてあげること。不完全な自分を許容すること。そしてその上で、自分には価値があるのだと思うこと。思えなくても、言葉にしてみること。口に出して言ってみること。
それがあると、徐々にではありますが自分の認識が変わってきます。

「10人いたとして、2人は常に自分の味方。2人は常に自分の敵。残りの6人は自分のことをどうでもいいと思っている人」というようなことを知った時に「自分が何をやったとしても、批判しかしてこない人間が一定数いる」という認識のもと、彼らが言ってくること、あるいは思っているであろうと「自分が感じる」ことに対して「気にしない」という判断ができるようになってきたなあという実感があります。

自分の手にコントロールできないことを気にしない、受け入れるという勇気。これができると、自分のエネルギーを減らしてしまうことが少なくなって、もし仮に今までとやっていることが変わらなかったとしても心が楽になるぶんだけ生きやすくなるし、エネルギーが減らない分だけむしろいろんなことにチャレンジすることができたりします。

 
アドラー心理学で言うところの
・認知論
自分というフィルターを通してしか、世界を見ていないということを知ること。本書では「評価グセ」という表現がなされています。
・課題の分離
自分の課題と相手の課題を分離し、自分の課題だけに注力するという視点。
例えばコミュニケーションで言えば、相手にどういうことをすれば、相手がすんなりと快く受け入れてくれるようなコミュニケーションができるだろう?と考えるのは「自分の課題」。だけどそれをどう受け取るかは「相手の課題」。
相手の課題に踏み込み「なぜ自分がこれだけやっているのに、こう受け取ってくれないんだ」となってしまうと、不幸感が増える
 
心理学やNLPで取り上げられることの多い要素として
・返報性の原理
誰かに褒めてもらいたいと思っているのなら、自分から誰かを褒める。
人には、やってもらったことをそのまま返したくなるという性質がある。
・ディソシエイト、メタ認知
起こっている事実を客観的に認知するということをトレーニングする。イヤな気分になった時、どのような感覚だったか、なぜそういう気分になったのか、どうなれば気分がよくなったのか、自分の行動を振り返り、その時の感情を言葉にしてみる。

というようなことが、専門的な言葉こそないものの、書かれている内容としては合致するかなあと思います。
読みやすい本なので、メンタルはコントロールできるものであるという認識をするにあたっての「入門編」として適しているかと思いました。