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モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術 レビュー

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鈴木颯人著【モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術】のレビュー記事です。

全体の感想まとめ

・相手のモチベーションを保つための心得を意識する。
・まず相手との信頼関係を構築するための方法を意識する。
・次に、相手とのアプローチでどのような方法を用いればよいかを意識する。
・目標設定はとにかく「ワクワクするもの」が最強。
・目標設定後、1日の行動レベルにまで落とし込むことが重要。

端的に言ってめっちゃいい本でした。元気が出ます。
各章それぞれの部分を切り取って何冊も本ができるくらいの内容がまとめられているなあという印象ですが、マネジメントに必要な概念、今の時代にマッチした参考になる考え方について、学ぶことができました。

レビュー詳細

物事に打たれ強くなったり、逆境に強くなったり、物事の捉え方を変えたり、といういわゆる「メンタル」は、トレーニングによって変化させたり鍛えたりすることができる。
特にスポーツの世界では、もはや常識といっていいくらい浸透しているかと思うのですが、ちょっと前まで自分はこの感覚に至っていませんでした。実に人生もったいないことしていたなと思います。

これって、勉強とかスポーツとか「メンタルと別の要素」だと割とすんなり理解できることだよなと思います。
例えば、今の時点から「そうだ、東大に行こう!」と思ったとしたら、何をするか。
具体的な戦略は置いておくとして、とりあえず「今よりも勉強することが必要だ」ということにはあっさりと思い至るだろうと思います。
そしてそれは一日や二日やそこらで終わるものではなく、最低でも半年、必要によっちゃそれ以上の時間をかけて、じっくりと成長していくことが必要であろうということがすぐにわかります。
では、例えば今の時点から「そうだ、プロゴルファーになろう!」と思った時、何をするか。
具体的な戦略は置いておくとして、とりあえず「今よりもひたすらゴルフの練習をすることが必要だ」ということには思い至ります。
もちろんそれは一日、二日で終わるものではなくて、場合によっちゃ一生かけて目指していくところになる可能性すらあるということに、考えるまでもなく至ります。

でもメンタルに関しては、「そうだ、何があってもチャンスと思える心になろう!」とか思うこともなければ、そう思えるように練習を繰り返していって、何ヶ月、何年か、何十年かした後に体得するものであるという感覚が、全くなかったなあと思うのです。
なぜかメンタルに関しては「自然とそうなっているもの」という意識、「鍛えられるものではない」という意識がありました。
もちろん勉強にせよスポーツにせよ、それを続けていくにあたって「メンタル」をどう鍛えていくかというのは、重要な要素になると思います。

「メンタルは鍛えられない」「メンタルは生まれ持ったものである」そういう概念をぶち壊してくれるのが「メンタルコーチング」というものです。
正確にはメンタルを鍛える「メンタルトレーニング」と、他の人にそれをコーチする「メンタルコーチング」ということになるでしょうか。

本書はそういったメンタルコーチングをビジネスに活かして、5つのステップで「自ら動ける部下を育てる」という内容に記述されています。

その5つのステップとは、
PRE-STEP「相手のモチベーションを引き出すリーダーの心得」
STEP1「『クレジット』を高める関係性をつくる」
→先ずはメンバーとの関係性の構築が必要である。
STEP2「コーチングで相手の『現在地』を知る」
→現状を把握する。
STEP3「高いパフォーマンスを発揮する『目標』を設定する
→モチベーションを効果的に引き出すための目標設定を行う。
STEP4「『ポジティブアスキング』で思い込みの壁を取り払う」
→行動しない原因となる「思い込み」をなくす。
STEP5「『小さな一歩』でモチベーションを持続させるコツ」
→モチベーションを高く持続させる。
ということから形成されています。

PRE-STEPの部分では、リーダーの心得について触れられています。
・リーダーはメンバーに対し「歩み寄る」のではなく「寄り添う」
・リーダーは信頼関係を築くことを最優先とする
・リーダーはまず相手を「認める」ことが必要である
・リーダーは教えるより「気づかせる」
・リーダーは短所を長所に変える視点を持つ
以上5項目が、ここで語られている「リーダーの心得」です。

個人的には一番響いた、というか意識したいのが「信頼関係を築くことを最優先とする」というところ。大切であることはわかっているものの、具体的にどうやったら信頼関係を築くことができるのか、構築した矢先に崩れたりする信頼関係の中で、どのような行動に落とし込んでいけばいいのかということが難しく感じたりします。
もう一つ、大切と思っている視点が「短所を長所に変える視点」。物事に対して「いい面を捉えられること」と、言い換えることもできるかと思います。
次に、人の「いいところ探し」は自分も意識しているところです。とかく雰囲気のあまりよろしくない職場は、一緒に働いている人のことでなくても、他の職場の人から芸能人から、とにかく人の悪口があふれて「マイナスの面にフォーカスする」ということがクセになっているということが多くあります。

STEP1で重要とされていることを挙げてみます。
・整理整頓をする
・一声かける(単純接触効果)
・名前を呼ぶ
・接するメンバーに優先順位をつける
・積極的に「失敗談」を話す(ジョハリの窓を参考に)
・言葉は「伝わらない」前提で話す(言葉は工夫しなければ伝わらない)
・間接的な言い方で気付かせる
・一往復で終わる言い方を心がける(誰が聞いてもわかる客観的な状況説明と明確な指示を行う)
・「過程」を褒める
・惜しまず褒める(1日5回褒めることを習慣に)
・問いかけは「可能性を広げる」問いかけに(「どうしたら」を3回繰り返す)
・相手のせいにせず、自分の責任で物事を捉える

うまいこと活用した方がいいなと思ったのが「接するメンバーに優先順位をつける」というところ。ただまあ実際のところ、チームをマネジメントする上で接する必要が多いメンバーと少ないメンバーが存在するのは自然なことなので、どういうアプローチをするか、ということが重要であるというところに落ち着く話ではあるかと思います。
本書においても、距離を置く(接する頻度を落とす)と決めたメンバーに対しては「向こうからのアクションを待って、アクションしてきたらそれを手放しで褒める」という行動を例示しています。この時に、アクションされたことに対してリーダーが「否定」と取られる行動を起こしていたらチームの生産性は落ちるはずなので、どうせ自然につくメリハリを「さらに意識すること」、そして「相手を認める」という前提を守っていくこと、ということが重要なのかと思います。

このSTEP1で一番響いたのは「言葉は伝わらない前提で話す」という部分です。ここで挙げられたワークがとてもわかりやすいです。

ここでちょっとしたワークをしてみましょう。A4用紙を1枚用意して、次の1~6の手順を言う人と実行する人、二人一組になってスタートします。
1 目をつむって紙を持ちます
2 真横に折ってください
3 今度は縦に折ります
4 もう一度、真横に折ってください
5 右端をちぎってください
6 目を開けて紙を広げます
さて、一体どんな形になったでしょうか?
(Kindle版より引用 位置No.387~)

これ、実際にやってみるとよくわかりますが完成する形が人によってバラバラになります。そもそもの紙の持ち方がどうであるか、「横」「縦」「右端」「ちぎる」の言葉の解釈が人によって変わってくる。「右」という言葉も、自分から見た「右」は、相手から見ると「左」なので「どちらから見た右と解釈するか」で起こる結果は真逆になります。
言葉の解釈が人によって異なるので、自分の言葉は「伝わらないものだ」を前提として、どう伝えれば理解してもらえるか、ということを考えることが大事だ、というのがこの小項目の結論です。

さらに意識したいことは、コミュニケーションにおいて、自分の思いが相手に伝わらないことを「相手のせい」にしてしまうことが多くあるということです。
アドラー心理学で言うところの「課題の分離」を意識して、
・どのように相手に伝えるのかを考え、工夫し、実際に行動するのは「自分の課題」
・こちらが取った行動(伝え方)を、どのように受け止め、解釈するかは「相手の課題」
=自分はそこに関与しない。自分の課題のことをひたすら考え、相手の課題に土足で踏み入れない
というような考えを持ちたいなと思いました。

STEP2からはコーチングの実践編になっていきます。
・答えは相手の中にある
・人生のバランスを重視する
・人生の目的を思い出させる問いかけをする
・ヒーローズジャーニーを参考に、人生を客観視する
・組織のビジョンを共有する

いきなり「人生」という深いワードになり、これができれば組織として深まっていくだろうな、という印象です。信頼関係が構築されているという前提がなく突然この実践編をやるとうまくいかないと思われるので、しっかりステップを踏んでいくことが重要なのだろうと思います。
一番響いたところは「答えは相手の中にある」というところでしょうか。例えば自分が部下の立場で、何か目標設定したり進捗状況を確認したりする時の面談を想定すると、上司がなんかベラベラしゃべっていたとしても「はい」「そうですね」とか返事しながら全然関係ないこと考えてたりしますもんね。次にどう行動するか、その答えは相手に与えられるものではなく、自分で決めるものである、という前提に立つと、面談の中で重要なのは「自分がどう考えているのか、それを深めること」「次にどう行動するのかを考えること」このあたりになってくるかなあと思います。

STEP3は目標設定に関する内容です。
・相手の幸せを考慮した目標を一緒に考える
・外発的動機付けと内発的動機付けの使い分けを意識する
・金銭的なインセンティブは、思考を狭める可能性がある
・心の満足感を満たすアプローチを行う
・「ワクワクする目標」が最強である
・「具体的な目標」と「期日」を設定する
・結果にふさわしい「メンタル」を考えさせる
・80点でいいと考える(完璧主義を捨てる)
・時間をかけて「本当の目標」を考えさせる

相手の幸せに直結する目標を設定しましょう、というのは「職場を幸せにする経営学~働きたくてたまらないチームの作り方~」の内容も参考になりますが、最終的な仕事の目標を「幸せであること」につなげていきましょうという考え方になるかと思います。
仕事とプライベートを切り離して考える人も多くいますし、プライベートを仕事に持ち込むな!という考えが主流の時代もあったんじゃないかと思いますが、今は「仕事もプライベートも同じ個人なんだから、切り離して考えるとか無理じゃね?」というのが主流になっているのではないでしょうか。
実際、プライベートで例えば奥さんとケンカしたとか、子供がケガしたとか、家族が体調崩したとかあったら、それは仕事のパフォーマンスにも影響しますよねという話です。

「ワクワクする目標」が最強である、という部分は「ワクワクするリーダーの教科書」が、まさにこの内容で一冊の本にしているものなので参考になります。
結局、人間は快楽に向かっていく動物なので、仕事で成果を上げたかったらそれにどう「楽しい」をプラスするかが重要なんですよね。頑張って出す成果には限界があります。頑張ることには、疲れちゃうので。楽しいからやっている、という感覚があると自然に続けられる。自然に続けられると、行動が続くということなので成果も出る。
そのために必要なのが「ワクワクする目標」をイメージして、それにひたすらワクワクする、ということである。というのがとてもしっくりくるし、何よりもこういう話を聞くだけでワクワクしてきます。

完璧主義を捨てる、というのも、ここ最近で意識して行うようにして、楽になったなあという実感がある部分です。仕事でミスをしない人間はいないし、その時々によってパフォーマンスのいい時と悪い時があります。
自分は不完全な人間なので、仕事でも家庭でも、実にたくさんのことを見落としていきます。「なんでこんなことに気が付かないんだ」「なんでこれを見落とすんだ」人に言われることもありますし、自分で思うこともたくさんあります。
でもその時に「完璧主義を捨てる」という発想を持っていると、楽になります。一旦、不完全な自分を受け入れる、ということですね。これは「自己肯定感」という概念で言うところの「自己受容感」を育てることにつながるので、自分の軸がしっかりしていくということなんじゃないかなあと思っています。

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もちろん成果としては、見落としの少ない状態の方が上がっていくので、それを目指していく姿勢は大切だし、残った成果を意識することは大切なのですが。ただ、不完全な状態があった時にそれを責めるのではなくて一旦受け入れ、80点という成果を「100点満点中の80点(=20点とりこぼしている状態)」ではなく「ああ、今は80点満点の状態だったんだな」とか勝手に思うクセをつけることが、楽に生きるコツなのではないかと思います。

STEP4は「ポジティブアスキング」=前向きな質問で思い込みの壁を取り払う、とする項目です。
・部下の可能性を信じて接し続ける
・リーダーの「思い込み」が、メンバーの可能性を止めている
・メンバーの行動を制限している「思い込み」を探る
・本人を架空の第三者にたとえ、自分ならどう思うか想像させる
・イメージトレーニングは「成功」の疑似体験になり得る

人は、育ってきた環境、過去の経験から出来上がった「マイルール」すなわち価値観があり、常にその価値観というフィルターを通して世界を見ています。「人は、自分の見たいようにしか世界を見ていない」というやつですね。
まずはこの「価値観」というフィルター、「色メガネ」が存在するのだということを知ること。
次に、その上でどのような視点を持つか?を、自分で「選択する」こと。
このあたりが、重要になるんじゃないかと思います。

「できる」と思うことが、その世界を実現することにつながっていく。意識的にせよ無意識的にせよ、自分の価値観に基づいて「自分にはできない」という「思い込み」に気が付き、そうではない前向きな「思い込み」を作っていく。
自分の「思い込み」が、結果を作っていく。成功するからワクワクするのではなく、ワクワクするから成功するのである。
最後の方に言及されていますが、このあたりは伝え方によってはとてもスピリチュアルな香りがして拒否感を示す人も多いので、根拠として挙げる場合には「NLP(神経言語プログラミング)」の考え方が科学的で有効かと思います。

STEP5は「小さな一歩」でモチベーションを持続させるコツ。
・目標を設定後、1日の行動レベルにまで落とし込む
・習慣にするための方法を考える
・イライラする時こそ「感謝」を考える
・「できない日」を作らないことがモチベーション維持に重要である

いわゆるビジネス書や自己啓発本で「こうしたら成功します!」というものはたくさんあるわけですけど、その全てに共通して言えることは「行動しなければ、何も結果は得られない」という原理原則です。そりゃそうだ、って話ではあるわけですが。
なので、STEP3あたりでものすごくワクワクする目標を立てて、具体的なイメージもふくらませて毎日想像して妄想して、やべーこれ達成したら超楽しい!みたいな状態になった後、「さて、じゃあ今、何をやろう?」みたいな細かいことを考えて、さらに行動に移し、地道にそれを続けていく必要があるということですね。
このあたりをやりやすくするための方法が「ラッキー」「ツイてる」という口グセだったりするんじゃないかと思います。
(「世界一ふざけた夢の叶え方」「実践!世界一ふざけた夢の叶え方」のレビュー記事も是非参考にどうぞ)

「メンタル」ということを軸にして、どのような考えを持てばうまいこといくことにつながるのか。
それが確認できるという意味でとてもいい本だと思いました。内容を参考にして、自分の職場に活かすことができるようにしていきたいなと感じさせる内容でした。