SFC修行

2018年4月からの当日アップグレードはこうなっている!狙い目の路線はどこか?

2017年12月23日

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ANAでは、普通席の予約から当日プレミアムクラスの空席があれば、空港にて9000円を支払えばアップグレードできるという「当日アップグレード」というシステムがあります。
2017年12月20日、プレスリリースにて、この当日アップグレードのシステムや料金設定が2018年4月1日以降変更されることが発表されました。

この記事では、その変更の詳細を、SFC修行の観点から考察しています。

当日アップグレードが「事前アップグレード可能」に

まず一つ目の変更点が、当日だけでなく2日前から事前にアップグレードすることが可能になる、という点です。
これまでは、普通席の予約を持っている状態からプレミアムクラスに変更したい場合は、当日空港で空席があった場合のみ変更可能でした。

2018年4月1日搭乗分からは、搭乗日の2日前からWEBにてプレミアムクラスへのアップグレードが可能になります。
アップグレードの予約にはANAマイレージクラブの登録が必要で、料金はクレジットカードでの支払いまたはアップグレードポイントの利用に限られます。
対象運賃は特典航空券やいっしょにマイル割なども含まれますが、国際線の国内区間、団体運賃、包括旅行割引運賃は対象外です。

事前アップグレード可能な席数に限りがあるかどうかは、今回の発表では触れられていません。

当日にもプレミアムクラスの空席があればアップグレードは可能ですが、事前にアップグレードする場合に比べて一律1000円料金が高くなります。
この差額は、どの路線でも共通です。

アップグレードの料金が一律9000円から変更に

次に、これまで一律9000円だった当日アップグレードの料金が変更となり、路線ごとに設定されることになりました。
最も料金が安くなる事前アップグレードの場合で、低い路線が3000円、高い路線が14000円の設定となりいくつかの幅ができます。

2017年10月29日からプレミアムクラスのサービスが見直され、羽田空港発着の伊丹・福岡・新千歳・那覇路線はプレミアムGOZENが箱での提供から器に盛られた形の提供に変更となりました。
その影響もあるのか、これらに関わる路線は総じて料金が高くなっています。

その他は順当に、距離が短い路線は安く、長い路線は高く、といった形の設定に変更となっていますので、これまで「どうせ同じ値段で当日アップグレードするなら、飛行時間が長い路線の方がお得」という感覚が多くあったものが、概ね飛行時間に沿った形で設定されるということになります。
路線間での不公平感は少なくなるのかな、という印象です。

SFC修行への影響

1年間で50000PPを稼ぐというSFC修行の観点から見た場合、「長距離路線のアップグレード料金が、これまでよりも高くなった」という点が、端的に影響します。

プレミアムクラスへの当日アップグレードを行うと、獲得PPはちょうど区間基本マイレージと同じ数だけ増えます。
このあたりは、当日アップグレードについて記載した以下の記事を参照してください。

「当日アップグレード」の全て。プレミアムポイントはどうなる?

続きを見る

つまりこれまでは、料金が一律9000円だったので「とにかく飛行距離が長い=区間基本マイレージが大きい区間の当日アップグレードがお得」≒「那覇・石垣・宮古路線がお得」ということが言えたわけです。
しかし、今後はこれが通用しなくなります。
それぞれの路線において、当日アップグレードする方がお得なのか、ということを個別に検討する必要が出てきます。
飛行距離がそれほど長くなくても、アップグレードに要する金額が少なくて相対的にこれまでよりもお得にPPを稼ぐことが可能になる路線が出てくるということになります。

当日アップグレードする場合だと、2日前に事前アップグレードする場合よりも常に1000円プラスにかかることになりますので、勝負は搭乗の2日前、という形になるでしょう。路線によっては、通常の予約と似たような争奪戦になることが予想されます。

事前アップグレードは「新潟~那覇」が最もお得に

それでは、具体的にアップグレードの料金設定がどのように変わったのか、プレスリリースの設定を見てみましょう。
変更前のアップグレード料金は全て9000円のためPP単価のみ記載しています。
また、変更後の当日アップグレード料金は全て事前アップグレード料金にプラス1000円のため、事前アップグレードの料金のみ記載しています。

路線 区間基本
マイレージ
変更前
PP単価
事前アップ
グレード料金
PP単価
東京札幌 510 17.65 14,000 27.45
東京稚内 679 13.25 7,000 10.31
東京紋別 623 14.45 7,000 11.24
東京中標津 605 14.88 7,000 11.57
東京釧路 555 16.22 7,000 12.61
東京函館 424 21.23 7,000 16.51
東京大館能代 314 28.66 5,000 15.92
東京秋田 279 32.26 5,000 17.92
東京庄内 218 41.28 5,000 22.94
東京仙台 177 50.85 5,000 28.25
東京名古屋 193 46.63 7,000 36.27
東京新潟 167 53.89 5,000 29.94
東京富山 176 51.14 5,000 28.41
東京小松 211 42.65 5,000 23.70
東京能登 207 43.48 5,000 24.15
東京八丈島 177 50.85 5,000 28.25
東京大阪 280 32.14 10,000 35.71
東京岡山 356 25.28 7,000 19.66
東京広島 414 21.74 10,000 24.15
東京岩国 457 19.69 10,000 21.88
東京山口宇部 510 17.65 7,000 13.73
東京鳥取 328 27.44 7,000 21.34
東京米子 384 23.44 7,000 18.23
東京萩・石見 474 18.99 7,000 14.77
東京徳島 329 27.36 7,000 21.28
東京高松 354 25.42 7,000 19.77
東京松山 438 20.55 10,000 22.83
東京高知 393 22.90 7,000 17.81
東京福岡 567 15.87 14,000 24.69
東京佐賀 584 15.41 14,000 23.97
東京大分 499 18.04 10,000 20.04
東京熊本 568 15.85 10,000 17.61
東京長崎 610 14.75 10,000 16.39
東京宮崎 561 16.04 10,000 17.83
東京鹿児島 601 14.98 10,000 16.64
東京沖縄 984 9.15 14,000 14.23
東京宮古 1158 7.77 14,000 12.09
東京石垣 1224 7.35 14,000 11.44
大阪札幌 666 13.51 14,000 21.02
大阪女満別 797 11.29 7,000 8.78
大阪旭川 739 12.18 7,000 9.47
大阪函館 578 15.57 7,000 12.11
大阪青森 523 17.21 7,000 13.38
大阪秋田 439 20.50 7,000 15.95
大阪仙台 396 22.73 7,000 17.68
大阪福島 339 26.55 5,000 14.75
大阪新潟 314 28.66 5,000 15.92
大阪松山 159 56.60 3,000 18.87
大阪高知 119 75.63 3,000 25.21
大阪福岡 287 31.36 7,000 24.39
大阪大分 219 41.10 5,000 22.83
大阪熊本 290 31.03 5,000 17.24
大阪長崎 330 27.27 5,000 15.15
大阪宮崎 292 30.82 5,000 17.12
大阪鹿児島 329 27.36 5,000 15.20
大阪沖縄 739 12.18 10,000 13.53
大阪宮古 906 9.93 10,000 11.04
大阪石垣 969 9.29 10,000 10.32
名古屋女満別 738 12.20 7,000 9.49
名古屋旭川 686 13.12 7,000 10.20
名古屋札幌 614 14.66 14,000 22.80
名古屋函館 525 17.14 7,000 13.33
名古屋秋田 380 23.68 5,000 13.16
名古屋仙台 322 27.95 5,000 15.53
名古屋新潟 249 36.14 5,000 20.08
名古屋松山 246 36.59 5,000 20.33
名古屋福岡 374 24.06 5,000 13.37
名古屋熊本 375 24.00 5,000 13.33
名古屋長崎 417 21.58 5,000 11.99
名古屋宮崎 372 24.19 5,000 13.44
名古屋鹿児島 411 21.90 5,000 12.17
名古屋沖縄 809 11.12 10,000 12.36
名古屋石垣 1044 8.62 10,000 9.58
札幌利尻 159 56.60 3,000 18.87
札幌稚内 171 52.63 3,000 17.54
札幌女満別 148 60.81 3,000 20.27
札幌中標津 178 50.56 3,000 16.85
札幌釧路 136 66.18 3,000 22.06
札幌函館 90 100.00 3,000 33.33
青森札幌 153 58.82 5,000 32.68
秋田札幌 238 37.82 5,000 21.01
仙台札幌 335 26.87 5,000 14.93
福島札幌 400 22.50 5,000 12.50
静岡札幌 592 15.20 7,000 11.82
新潟札幌 369 24.39 5,000 13.55
富山札幌 493 18.26 5,000 10.14
小松札幌 529 17.01 5,000 9.45
広島札幌 749 12.02 7,000 9.35
福岡札幌 882 10.20 14,000 15.87
札幌沖縄 1397 6.44 14,000 10.02
福岡仙台 665 13.53 7,000 10.53
福岡新潟 572 15.73 5,000 8.74
福岡小松 390 23.08 5,000 12.82
福岡対馬 81 111.11 3,000 37.04
福岡福江 113 79.65 3,000 26.55
福岡宮崎 131 68.70 3,000 22.90
仙台沖縄 1130 7.96 14,000 12.39
新潟沖縄 1052 8.56 7,000 6.65
静岡沖縄 863 10.43 7,000 8.11
広島沖縄 650 13.85 7,000 10.77
岩国沖縄 614 14.66 7,000 11.40
高松沖縄 677 13.29 7,000 10.34
松山沖縄 607 14.83 7,000 11.53
福岡沖縄 537 16.76 7,000 13.04
熊本沖縄 494 18.22 7,000 14.17
長崎沖縄 484 18.60 7,000 14.46
福岡石垣 737 12.21 7,000 9.50
沖縄宮古 177 50.85 3,000 16.95
沖縄石垣 247 36.44 3,000 12.15
宮古石垣 72 125.00 3,000 41.67

アップグレード可能な109路線の内、値下げとなったのが85路線、値上げとなったのが24路線です。
近距離路線を中心として、これまでよりも割安にプレミアムクラスを利用することができるようになった、と言えるかと思います。
正直、1時間程度しか飛行時間がないのに、プレミアムクラスを使うのに9000円払うというのは割高な印象がある人も相当数いるかと思いますので、この変更は改良と言えるのではないでしょうか。
実際のところ、おそらく近距離路線のプレミアムクラスは空席が目立つ例も多くあったのではないかと思います。

具体的な内訳は、以下の通りです。
(料金は事前アップグレードの料金との差額です)

6000円値下げ・・・14路線
4000円値下げ・・・34路線
2000円値下げ・・・37路線

1000円値上げ・・・14路線
5000円値上げ・・・11路線

SFC修行の観点からすると、この「5000円値上げ」の路線に「羽田・成田~那覇」「羽田~石垣」「羽田~宮古」「新千歳~那覇」など、SFC修行のメイン路線とも言うべき路線が含まれているのが痛いところです。
ただ、実際のところこれらの路線のプレミアムクラスは競争が激しすぎて、特にプレミアムメンバーでない状態だと当日アップグレードが現実的ではないという側面もありましたので、実質それほど変わりないという見方もできるかもしれません。

注目は、これだけ値下げされている路線が多いということは、逆に変更前よりも狙い目になっている路線が出てくるのではないか、というところです。

料金変更後の路線を、プレミアムクラスにアップグレードした時の獲得PP(=区間基本マイレージと同じ数)の単価が優秀な順に並べてみると、次のようになります。

路線 区間基本
マイレージ
変更前
PP単価
事前アップ
グレード料金
PP単価
新潟沖縄 1052 8.56 7,000 6.65
静岡沖縄 863 10.43 7,000 8.11
福岡新潟 572 15.73 5,000 8.74
大阪女満別 797 11.29 7,000 8.78
広島札幌 749 12.02 7,000 9.35
小松札幌 529 17.01 5,000 9.45
大阪旭川 739 12.18 7,000 9.47
名古屋女満別 738 12.20 7,000 9.49
福岡石垣 737 12.21 7,000 9.50
名古屋石垣 1044 8.62 10,000 9.58
札幌沖縄 1397 6.44 14,000 10.02
富山札幌 493 18.26 5,000 10.14
名古屋旭川 686 13.12 7,000 10.20
東京稚内 679 13.25 7,000 10.31
大阪石垣 969 9.29 10,000 10.32
高松沖縄 677 13.29 7,000 10.34
福岡仙台 665 13.53 7,000 10.53
広島沖縄 650 13.85 7,000 10.77
大阪宮古 906 9.93 10,000 11.04
東京紋別 623 14.45 7,000 11.24
岩国沖縄 614 14.66 7,000 11.40
東京石垣 1224 7.35 14,000 11.44
松山沖縄 607 14.83 7,000 11.53
東京中標津 605 14.88 7,000 11.57
静岡札幌 592 15.20 7,000 11.82
名古屋長崎 417 21.58 5,000 11.99
東京宮古 1158 7.77 14,000 12.09
大阪函館 578 15.57 7,000 12.11
沖縄石垣 247 36.44 3,000 12.15
名古屋鹿児島 411 21.90 5,000 12.17
名古屋沖縄 809 11.12 10,000 12.36
仙台沖縄 1130 7.96 14,000 12.39
福島札幌 400 22.50 5,000 12.50
東京釧路 555 16.22 7,000 12.61
福岡小松 390 23.08 5,000 12.82

SFC修行の路線として活用できそうなもの、として「アップグレードで変わる部分のPP単価が13円以下となる路線」を挙げていますが、全ての路線の中で最も優秀な設定となるのは「新潟~那覇」、そのPP単価は6.65円です。
変更前の最優秀路線は国内最長路線の「新千歳~那覇」で、アップグレード部分のPP単価が6.44円ですので、これに匹敵するだけの優秀な設定と言えます。
ここまで優秀な設定となることは多くありません。
ただしこの「新潟~那覇」路線、ほとんどの運航機材がB737-500で、プレミアムクラスの設定がありません。新潟と他空港の路線があまり多くないというところから見ても、優秀なPP単価の恩恵を受けられるケースはけして多くなさそうです。

この路線以降はPP単価8円台9円台の設定が並びます。新潟~福岡、新千歳~小松あたりは変更前と比べてかなりPP単価が優秀になっていて、狙い目と言える設定になっているかと思います。路線によっては新潟~那覇同様に、運航機材がそもそもプレミアムクラスの存在しないもの、という可能性もあるかとは思いますが・・・
路線自体が若干マイナーというか、本数が少ない路線ですので他と組み合わせにくい、起点空港となっていなければ使いづらいという点は指摘されるところでしょうか。

なお、国内最長路線の「新千歳~那覇」は当然のごとく5000円値上げの路線となっておりPP単価は大きく悪化してしまっていますが、それでもほぼ10円のラインを保っています。
羽田・成田~那覇のアップグレードがPP単価9.15円から14.23円まで悪化してしまっていることを考えると、まだまだ優秀な路線であると言えそうです。

まとめ

今回の変更によるSFC修行への影響をまとめると
・SFC修行のメインと言える路線については軒並み改悪
・それ以外は路線によってお得かそうでないかが分散されて起点空港によっては大きな改善
といったところでしょうか。

路線によってアップグレード料金が異なることで、その路線をアップグレードする場合にPP単価がどう変動するのかわかりにくくなるという面が出てきますので、是非この記事も参考にしていただければと思います。

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