SFC修行 クレジットカード

こんな時にはこのANAカード!失敗しないANAカード選びの基礎知識

2016年9月7日

f:id:romulus_k:20170924214627j:plain

最終更新日:2017年10月13日
世にあふれる「ANA」の名の付くカード。
あまりにも種類が多すぎて、どれを選べばいいのかわからない・・・!
これは、多くの人がぶち当たる問題かと思います。もちろん、どのクレジットカードを選ぶべきかは、どれだけANAに乗るのか、陸マイラー活動をするのか、どれだけクレジットカードの決済を行うのかという視点によって最適な答えが変わってきます。

例えば・・・
ANAの上級会員(プラチナ会員)になると発行が可能になり、永久に上級会員資格を維持することができる特別なANAカードである「スーパーフライヤーズカード(SFC)」を手に入れるためにはどのANAカードが最適なのか?

例えば・・・
陸マイラーでマイルを貯める、あるいは決済でマイルを貯めるにはどのANAカードが最適なのか?

この記事ではできるだけ多くの視点から、「こんな時にはこのANAカード!」とお勧めできるものを、検証していきます。ところどころに自分のお勧めや考えが散りばめられていますので、ANAカード選びに迷っている方の状況に合わせながら、比較検討の材料にしていただければと思います。

基本となる「ANAマイレージクラブカード」

まず、クレジットカードではないのですが、基本となる「ANAマイレージクラブカード」(略称AMC)について知っておきましょう。

ANAマイレージクラブカードは、入会費・年会費が無料。入会すると10桁のANAマイレージクラブ番号が発行されます。

f:id:romulus_k:20171012235000p:plain

マイルの楽しさを発見するカード ANAマイレージクラブカード│ANAマイレージクラブ

細かい特典は抜きにしてざっくりと説明すると「ANAや提携航空会社の便に搭乗した場合にマイルを貯めるために最低限必要なもの」がANAマイレージクラブ番号である、ということになります。
ANA上級会員への道を目指すためのプレミアムポイントを貯めていくにも、この番号が必要になります。
単純にマイルを貯めるだけ、単純に上級会員になるだけなら、ANAマイレージクラブカードでも(一応)可能です。

「ANAにはそんなに乗らないし陸マイラーにも興味がないけど、たまに乗った時のマイルは貯めておきたい」という人には「一応、発行しておいてもいいんじゃない?」程度のことは言えるかと思います。
マイルには3年という期限がありますし、少ないマイルの使い道は限られていてマイル単価も低いですが、ANA SKY コインに交換するなどして1マイル1円相当の価値にはすることができます。

混同しやすい「ANAカード」と「ANAマイレージクラブ提携カード」

ANAマイレージクラブ番号と、ANAが関わるクレジットカードは切っても切れない関係にあるわけですが、クレジットカードの比較として見る場合になぜここがわかりづらいのでしょうか。
原因の一つとして、「ANA」と名の付くカードに「ANAカード」と「ANAマイレージクラブ提携カード」という2種類がある、ということが言えます。

この2つは全く異なるものですが、クレジットカードの券面にはどちらも「ANA」と記載されますし、どちらのカードにもANAマイレージクラブの番号が付与されるため、混乱してしまいますよね。
なお見た目で言えば、ANAカードの券面には「ANA CARD」の文字が入りますので、それ以外は提携カードであるという判断ができます。

「ANAマイレージクラブ提携カード」には、公式には以下の7種類が挙げられています。
・楽天ANAマイレージクラブカード
・【JCB ORIGINAL SERIES】JCBカード/プラスANAマイレージクラブ
・みずほマイレージクラブカード/ANA
・ヤマダLABI ANAマイレージクラブカード
・PiPuCa ANAマイレージクラブカード
・JRタワースクエアカード ANA Kitaca
・JQ SUGOCA ANA

これらのクレジットカードは、楽天カードやJCBカードなどのクレジットカードに「ANAマイレージクラブ番号が付与されたもの」です。
ANAに搭乗した場合にマイルを貯めたり、クレジットカードのポイントをANAマイルに交換したりすることはできますが、ANA便搭乗時のボーナスマイルなどの特典を受けることはできません。

これらANAマイレージクラブ提携カードをあえて選択する必要性は、個人的にはほぼゼロだと思います。
必要ならANAマイレージクラブカードを別に発行しても年会費はかかりませんし、今はスマートフォン用のアプリもあってカードを所持する必要はほとんどありません。
クレジットカードのポイントをANAマイルに交換することを考えても、これらの提携カードのマイル交換率はけして高くありません。
クレジットカードの決済でマイルを貯めることが目的なら、ANAマイレージクラブ提携カードは選択肢には入って来ないのですね。

そのためこの記事では、ANAマイレージクラブ提携カードの詳しいスペックの記載は省略しています。
ANAカードだけを取り上げて比較していきます。

ANAカードならではの特典とは何か

それではまず「ANAカードだから得られる特典とは何か」を確認しておきましょう。

f:id:romulus_k:20171012235258p:plain

毎日をもっとゆたかな時間に ANA CARD│ANAマイレージクラブ

公式ページ上では「ANA CARD 限定サービスのご案内」としてまとめられています。
細かい特典はいろいろとありますが、お世話になる可能性が高く重要なのは以下の6点です。

ANA SKY コイン優遇サービス

マイルから交換するなどして得た後に、1SKYコイン=1円として航空券の支払いなどにあてられるのが「ANA SKY コイン」ですが、20000マイル以上を交換した場合に交換倍率が優遇されます。

f:id:romulus_k:20170924003211p:plain
基本となるANAマイレージクラブ会員だと、どこまでいっても最大1.2倍で固定ですが、ANAカードを所持しているとこれが最大1.5倍または1.6倍まで優遇されます。
メリットを享受するためにはある程度まとまったマイルが必要という注意点はありますが、重要なメリットの一つです。

ANAカードマイルプラス

ANAカードで決済した場合に、通常のポイント(マイル)に加えて、所定の率でマイルを得ることができるのがANAカードマイルプラスです。

www.ana.co.jp

得られるマイルはショップによって異なりますが、概ね100円または200円ごとに1マイル(マイル還元率として1%または0.5%)となります。
獲得マイル数としてはけして多くないものの、設定されているショップ数は多く、クレジットカードのポイントに加えて得ることができるというところがポイントですね。
ANAの航空券を購入した場合の1%付与が最も重要ですが、その他の日常生活ではENEOSでのガソリン給油やセブンイレブンの買い物などが使いやすくメリットを受けられるのではないかと思います。

入会/継続ボーナスマイル

入会、または年1回の継続によりボーナスマイルを得ることができます。
クレジットカードの種類によって積算されるマイル数は変わってきますが、1000マイル、2000マイル、10000マイルのいずれかとなります。
ANAカードは完全年会費無料では持つことができませんが、これらの継続ボーナスマイルは何もしなくても毎年必ず得られるので「年会費で継続ボーナスマイルを買っている」というバイマイルとしての発想ができます。
カードの種類によっては1マイルあたりの取得単価をかなり下げることができるため、複数枚を所持する検討材料として有用です。

搭乗ボーナスマイル

主にANAグループ便に搭乗した際に得られるマイルに、所定の割合でボーナスマイルが加算されます。
カードの種類によって10%、25%、50%の3種類が設定されています。

「飛行機に乗ってマイルを貯める」という最も基本的なマイルの貯め方とも言えるもので、航空券の値段が同じでも得られるマイル数が単純に増えるという意味で、恩恵を感じやすい特典と言えるかもしれません。

注意するべき点としては、かかる金額と得られるマイル数を比較すると、現在では陸マイラーの方が圧倒的にマイルを得やすいという状況があります。
また、獲得マイル数は飛行距離によって大きく左右されますので、短距離の便だとボーナスマイルとして得られる数は微々たるものです。
飛行機に乗る頻度が多く上級会員になる場合だと、上級会員の特典としてのボーナスマイル積算率の方が高くなることが多く、ANAカードのボーナルマイル積算率に意味がなくなってしまうということもあります。

ファミリーマイル

簡単に言えば「家族間のマイルを合算して利用することができる」というのがファミリーマイルですが、利用にはANAカードが必要です。
一旦登録した内容の変更や退会には1名あたり5000マイルの手数料がかかる、ファミリーマイルだと使うことができない利用先があるなど、その利用については注意が必要で複雑なものが多いですが、家族の中で少ないマイルしかたまらない場合にも無駄にせず使うことができるという意味で有用な特典と言えます。

ANA FESTAや機内販売、A-Styleなどでの割引

例えばANA FESTAで税込1000円以上購入する時にANAカードを提示すると10%割引になるなど、空港内のANA FESTAや免税店、機内販売、A-Styleなどで買い物をする時に割引を受けられる特典があります。空港の利用があれば何かしらの買い物を伴うことが多いかと思いますので、実感しやすいメリットと言えるでしょう。免税店の割引を除いて、どのカードでも割引率が変わらず受けられるというのも、年会費の安いANAカードを持つ理由として大きいです。

これらの特典がANAカードに限定されてあるわけですが、これらの特典を踏まえて、それがカードの種類によってどのように変わり、また年会費などのスペックがどのように設定されているのか、種類ごとに細かく見ていきましょう。
ANAカードは、カードの種類として「ANA一般カード」「ANAワイドカード」「ANAワイドゴールドカード」「ANAプレミアムカード」の4種類に分類されます。

ANA一般カード

ANA一般カードは全部で8種類あります。
・ANA JCB ZEROカード ※18~29歳の社会人限定
・ANA To Me CARD PASMO JCBカード(ソラチカカード)
・ANA JCB 一般カード
・ANA VISA 一般カード
・ANA Master 一般カード
・ANA VISA Suicaカード
・ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカード
・ANA アメリカン・エキスプレス・カード

f:id:romulus_k:20171013000320p:plain

まず、これらの中で少し特殊なのがANA JCB ZEROカードで、入会資格が18歳~29歳の社会人に限定されています。
また、初回のカード更新時(入会から5年後)には審査の上でANA JCB一般カードに自動的に切り替わる形になっていて、最大でも5年しか持つことができないクレジットカードということになります。
入会金・年会費無料で持つことができる唯一のANAカードというのがウリではありますが、1年ごとにもらえるボーナスマイルもないし、入会資格に該当する場合でもわざわざこれを選ぶ必要はないかなと思います。
「ANAカードは作りたいけど、年会費がかかるのは嫌だ。ANAに乗る回数は少なくて、たまにANA FESTAで買い物する時に割引を受けたい」という人には合っているのかもしれませんが、年会費無料のクレジットカードなら他にも選択肢はたくさんありますし、どのみち5年でANA JCB一般カードに切り替えになってしまうのなら、ボーナスマイルなどその他の特典を考えたら最初から別のカードを作っておいた方がいいのではないかと思います。

ANAカードを選択するにあたって、飛行機に乗らずにマイルを貯める「陸マイラー」を行うなら、最優先の候補は「ANA To Me CARD PASMO JCBカード(ソラチカカード)」です。メトロポイントからANAマイルへ90%という高還元率で交換ができるようになるというのが唯一無二の特徴であり、最大のメリットと言えます。メトロポイントを貯めるのが、東京メトロの利用や決済ではなく「ポイントサイトの利用」であるということもポイントでしょうか。
現在ANAマイルを陸で貯める場合、これを超える還元率は一部のキャンペーンを除いてほとんどありません。
「陸マイラーをやりたいなら、選ぶ1枚はソラチカカード一択」これは、全陸マイラーの共通見解と言っていいものと思います。

ANA一般カードの中で、自分は絶対に選ばないだろうなというのを1枚選ぶとしたら「ANA アメリカン・エキスプレス・カード」(ANAアメックス一般)ですね。アメックスブランドのカードは年会費が高いものが多い代わりに、クレジットカード所持で得られる特典が個性的なものが多いという印象ですが、一般カードのANAアメックスは中途半端な印象です。
アメックスの場合、基本還元率が1.0%、移行手数料が6480円(税別6000円)という表記になっていますが、これはANAマイルへ交換するためにはこの年会費6480円ポイント移行コースへの登録が必須だからです。
ポイント移行コースへ登録中はポイントの期限が3年から無期限になるというのが他のカードにはない特徴ですが、交換単位が1000ポイントと大きいことも使いづらさを感じるところです。

なお、ANA一般カードを利用しようと考えた場合に、悩みどころの一つとなるのが移行手数料の存在です。
ANAアメックスカードを除いて、その他のANA一般カードの基本還元率は全て0.5%。これは、移行手数料なしでマイルに交換した場合のマイル還元率です。
移行手数料を支払うことでこれを1.0%にすることができるのですが、この手数料がJCBの場合で5400円(税別5000円)、VISA・Masterの場合で6480円(税別6000円)と安くありません。
移行手数料は交換するポイント数によって変動しないため「決済している金額が多い=保持しているポイントが多い」という場合には、移行手数料を支払ってでも1ポイント10マイルの還元率とした方がお得ということになります。
特に決済金額が多くない場合には、移行手数料分で得られるマイル数が少なくて微妙なラインになってしまうことが多いです。
ポイントの期限が2年なので2年に1回しか交換しないという手もありますが、その場合でも移行手数料を含めた平均の年会費は4000円〜5000円程度になります。

また、年会費という観点から見た場合に重要なのが「VISA・Masterかそうでないか」です。
上記比較表を見ると一律で2160円(税別2000円)ではありますが、このうちANA一般カード(VISA・Master)とANA VISA Suicaカード、ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカードの4枚には年会費の割引制度があるのです。
割引を受けるために必要なのは「マイ・ペイすリボへの登録と年1回以上の決済」です。
マイ・ペイすリボは、支払い方法が自動的にリボ払いになるというシステムのため、ただ登録するだけだと膨大な手数料を支払うことになる可能性があります。「リボ払いって、手数料のせいで破綻するとかいう話のやつでしょう?」というような印象で躊躇している方もいるかと思います。自分も実際に使ってみるまではなんとなく怖いなと思っていました。
これを回避するために必要な手順は一つ。マイ・ペイすリボへ登録の際は、必ず毎月の最低支払い金額を限度額と同じに設定することです。これにより、1回払いのカードと全く同じ条件で利用することができます。
申し込みの際にマイペイすリボへの登録は同時にできますが、最低支払い金額は低めにしか設定できないのでこの点には注意が必要です。カードが到着次第、使い始める前にすぐに設定を終わらせてしまえば問題ありません。

この割引により、ANA一般カード(VISA・Master)は1107円(税別1025円)、ANA VISA SuicaカードとANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカードは811円(税別751円)まで年会費が下がります。

「年会費を最も下げる」という条件でANAカードを持つならば、この割引を適用させたANA VISA SuicaカードまたはANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカードを所持するというのが当てはまります。
・国際ブランドはVISAがいい
・Suicaを使う
このどちらかに当てはまるならANA VISA Suicaカードの選択が望ましく、
・国際ブランドはMasterがいい
・PASMOを使う
・TOKYU POINT加盟店の利用が多い
このどれかに当てはまるなら、ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカードの選択が望ましいでしょう。
自分は、駅にあるATM「VIEW ALTTE(ビューアルッテ)」でSuicaをチャージすると電子マネーチャージでもクレジットカードのポイントが貯まるという点がポイントとなって、ANA VISA Suicaカードを利用しています。

ANAワイドカード

ANAワイドカードは、以下の3種類があります。
・ANA JCB ワイドカード
・ANA VISA ワイドカード
・ANA Master ワイドカード

f:id:romulus_k:20171013000924p:plain

(クリックで拡大します)

ANAワイドカードの年会費は7830円(税別7250円)と、ANA一般カードに比較するとかなり割高です。その差額、実に5670円(税別5250円)です。

これに対して得られるメリットは以下の3つです。
・フライトマイルのボーナスが25%に増える(一般カードは10%)
・付帯している保険の保障内容が増える(ゴールドカード相当)
・入会ボーナス、継続ボーナスのマイルが2000マイル

クレジットカード決済で得られるマイルは一般カードと同じで、移行手数料なしだと0.5%です。
移行手数料もJCBで5250円(税別5000円)、VISA・Masterで6480円(税別6000円)と変わらず、年会費と合計した時の費用負担が大きいため、決済用としてもお勧めできません。

ワイドカードで恩恵を最大に受けるためには、
・フライトの回数が多い
・ANA FESTAなど空港での特典利用が多い
という2つにおいて、この2つだけが多いという条件が必要になります。
フライトの回数が少ないのなら一般カードを持った方がお得だし、決済の金額が多いのならゴールドカードを持った方がお得だからです。
ほとんどの場合において、選ぶ必然性のないカードであるということが言えるかと思います。

ANAワイドゴールドカード

ANAワイドゴールドカードは
・ANA JCB ワイドゴールドカード
・ANA VISA ワイドゴールドカード
・ANA Master ワイドゴールドカード
・ANAダイナースカード
・ANA アメリカン・エキスプレス・ゴールドカード
以上5種類です。
ダイナースカードは「ゴールド」という名称こそありませんが、ゴールドカード相当以上のスペックを持っているためこちらに分類されています。

f:id:romulus_k:20171013001320p:plain(クリックで拡大します)

年会費はVISA、Master、JCBで税込15120円(税別14000円)、ダイナースカードで税込29160円(税別27000円)、アメリカン・エキスプレスカードで税込33480円(税別31000円)です。

この内、三井住友カード発行のVISA、Masterについては一般カードと同様に「マイペイすリボ」の登録と年1回以上の利用で年会費が11340円(税別10500円)に割引になります。
VISA・Masterのワイドゴールドカードの特徴は、これに加えて「WEB明細書サービス」への登録を行い、過去1年で年6回以上の請求があると年会費がさらに割引となり、10260円(税別9500円)にまで割引されます。
※正確には一般カード、ワイドカードにも「WEB明細書サービス登録+年6回以上の請求」での割引は存在しますが、「マイペイすリボ登録+年1回決済」での割引と合わせて適用されるのはゴールドカードのみです。

またマイル移行については、移行料なしで還元率1%となりますが、ANAカードによる決済でマイルを貯めようと考えた場合、重要なのがこの「年会費と移行手数料を足した実質の年会費」です。
VISA・Masterの場合が顕著ですが、受けられる年会費の割引を全て適用させた時の年間のトータルコストを比較すると以下の通りになります。

<一般カードの場合>
年会費1107円(税別1025円)+移行手数料6480円(税別6000円)=年間7587円
<ワイドカードの場合>
年会費6777円(税別6275円)+移行手数料6480円(税別6000円)=年間13257円
<ワイドゴールドカードの場合>
年会費10260円(税別9500円)+移行手数料なし=年間10260円

ある程度以上の決済金額があって、移行手数料を支払う=基本のマイル還元率を1%にするという前提にすると、一般カードとワイドゴールドカードの年間コストの差はわずか2673円となります。月平均にすると200円ちょっとの差しかありません。
ワイドカードに至っては、カードのスペックはワイドゴールドカードの方が上なのに、年間のコストが逆転してしまいます。

つまり、「一般カードやワイドカードで、マイル移行手数料を支払う前提で決済する」のなら、ワイドゴールドカードを選んだ方が得だということになります。

どの程度決済金額があれば、移行手数料を支払う方が得なのか?という問題があり、この部分は人によって価値基準が大きく異なるところですが、支払う移行手数料でどれだけのマイルが手に入るかをマイル単価として考えると一つの基準になるかと思います。
例えば一般的な基準である1マイル=2円という価値で換算するならば、JCBの場合で525,000円、VISA・Masterの場合で648,000円が基準の決済金額となります。
それより決済金額が多い、あるいは1年ではなく2年に1回交換するならば、1マイルあたりの単価はさらに下がってお得になります。

「クレジットカードの決済でマイルを貯めたい」という条件ならば、VISA・Masterのワイドゴールドカードが最も有力な選択肢になります。
2種類存在する年会費の割引を合算することができるというのが最大の決め手で、コストパフォーマンスに優れていることがその理由と言えます。
なお、年間300万円以上を決済する場合は、マイペイすリボを使って手数料を少しだけ発生させるというテクニックを併用すると、最大還元率は1.72%まで上がります。

後述しますが、ANAの上級会員となってスーパーフライヤーズカード(SFC)を発行する場合も、多くの人がVISA・Masterのワイドゴールドカードを選択しているのではないかと思います。自分も、ANA VISA ワイドゴールドカードをANA スーパーフライヤーズゴールドカードへと切替しました。

ANAプレミアムカード

「ANAプレミアムカード」は
・ANA JCB カード プレミアム
・ANA VISA プラチナ プレミアムカード
・ANA ダイナースプレミアムカード
・ANA アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
以上4種類です。

f:id:romulus_k:20171013001711p:plain(クリックで拡大します)

ANAプレミアムカードはいわゆる「プラチナカード」に相当するクレジットカードですが、年会費はJCBで75600円(税別70000円)、VISAで86400円(80000円)、ダイナースで167400円(税別155000円)、アメリカン・エキスプレスで162000円(税別150000円)です。
ゴールドカードまでとはレベルの違う額ですね。

ANAプレミアムカードで得られるメリットとしては
・マイル還元率が1.0%~2.5%まで増加
・国内線のANAラウンジを利用可能(本人のみ)
ANAに関係するメリットとしての代表的なものは上記の2点程度です。

その他得られるメリットとしては「プラチナカードだから付随するもの」という形になります。コンシェルジュサービス、海外空港のラウンジを無料で使えるプライオリティ・パスの付帯、といった特典は当然ありますが、「ANAカードとして」このプレミアムカードを持つ必要があるか、という側面で見ると、ほとんどの場合で合致しないかと思います。
プラチナカードのメリットを享受したいだけなら、エポスプラチナカードやMUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カードなど年会費の安いプラチナカードもありますし、年会費が高額であることを考えると「プラチナカードとしてこのANAカードを選ぶ意味があるか?」というところは正直中途半端な印象です。

ANAプレミアムカードを持つべき人は、クレジットカードの決済金額が年間1000万円近くまであるような富裕層が中心となり、一般人には比較の対象にならないというのが現実ですね。

ANAカードは複数枚持つことができる

ここまでANAカードの一覧を種類ごとに、どのような場合に所持するのがお勧めできるかを検討しながら見てきましたが、1枚に絞り切るのはなかなか難しいですよね。
どれを持つべきか絞りきれない場合は「複数持ってしまう」ということも有効です。

意味があるかどうかは別として、ANAカードは最大で8枚同時に持つことができます。
・ANA VISA 一般・ワイドゴールド・プレミアムカードいずれか
・ANA Master 一般・ワイドゴールド・プレミアムカードいずれか
・ANA JCB 一般・ワイドゴールド・プレミアムカードいずれか
・ANA To Me CARD PASMO JCBカード(ソラチカカード)
・ANA VISA Suicaカード
・ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカード
・ANA アメリカン・エキスプレス・カード(一般・ゴールド・プレミアムいずれか)
・ANA ダイナースカード

複数枚を持つ場合も受けられる特典が倍増するということはありませんが、特に年会費を安くすることのできるANA VISA Suicaカード、ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカードなどは、継続マイルの1000マイルを目的に持っておくというのも十分に有効です。

ANAダイナースカードやANAアメリカン・エキスプレス・ゴールドカードなどは年会費が高いものの、初年度無料かつ入会キャンペーンが大型になることも多いため、継続して持つのではなく機を見計らって一時的に発行するということを主に狙うことができます。

また、ANAカードを複数枚持つ場合、ANAマイレージクラブ番号(AMC番号)はカードごとに発行されてマイルもそれぞれ別にたまりますが、メインカードとサブカードの概念があり、設定を行えば全てを合算して使用することができます。
通常はカード申し込みの時に既に持っているAMC番号を記入することで改めて設定することはありません。
基本的には後から発行したANAカードが親番号になりますが、ゴールドカードなど種別が上のカードを持っている場合にはそちらが優先されるようです。
特典航空券の申し込みや国際線・海外ツアーなどの発券は、メインカードに設定したAMC番号からでないと行えませんので、複数枚持つ場合にはどれをメインカードにするかを把握しておくことが必要な場面があります。

SFC修行という観点から見た場合のANAカード

できるだけ費用を抑えて1年だけANAに多く乗ってプラチナ会員となり、スーパーフライヤーズカード(SFC)を発行することで永久にANAの上級資格を得ようという「SFC修行」の観点から見た場合のANAカードで重要な点は「SFCに切替可能なANAカードかどうか?」という点です。

注意が必要なのは以下の4枚で、これらには切替先となるSFCが存在しません。
・ANA To Me CARD PASMO JCBカード(ソラチカカード)
・ANA VISA Suicaカード
・ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカード
・ANA アメリカン・エキスプレス・カード

これらのANAカードしか持っていない状態でSFCを発行したい場合、対象となるSFCを追加で新規発行するという形になるため、クレジットカードの所定の審査があり審査落ちのリスクがあります。
ANAプラチナ会員の資格が継続している期間=SFCを申し込むことのできる期間は最大でも約2年と限定されていますので、審査落ちを繰り返すとせっかくプラチナ会員になってもSFCを発行することができない、という最悪の事態になりかねません。
SFC修行を始める前に、SFCに切替可能なANAカードを1枚持っておく。これは、SFC修行の鉄則です。

なお、SFCは切替前のANAカードと年会費などが変更となることがあります。「どのANAカードをSFCとして持っておくべきか」は、以下の記事にて詳しく考察していますので、ぜひご参照ください。

www.romulus-k-anaume.net

まとめ。こんな時にはこのANAカード

ここまでそれぞれのANAカードの詳細について記載してきましたが、最後に「どういった場合に、どのANAカードを持つことがお勧めか?」自分の見解を書いておきます。

ANAカードが不要と思われる場合

まず、ANAカードが不要となる場合(ANAマイレージクラブカードで十分な場合)は
・ANAにほとんど乗らない
・陸マイラー活動もしない
・空港施設(ANA FESTAなど)の利用もしない
これらに該当する場合でしょうか。LCCを多く利用するなどでANAを利用しない場合にも、空港の利用がある程度ある場合にはANA FESTAでの割引は有用になるかと思います。

陸マイラーになる場合

「ANA To Me CARD PASMO JCBカード(ソラチカカード)」一択です。
毎月20000メトロポイントまでを0.9倍(=18000マイル)という驚異的な高還元率でANAマイルに交換することができます。
現在はポイントサイトを利用して最終的にメトロポイントに交換し、ソラチカカードを活用してANAマイルに交換するというものが、ANA陸マイラーの圧倒的な主流です。

SFC修行をすることが決定している場合

「ANA VISA ワイドゴールドカード」または「ANA Master ワイドゴールドカード」がお勧めです。
VISA・Masterのワイドゴールドカードは、マイペイすリボへの登録、WEB明細サービスへの登録、年6回以上の利用という条件を満たした場合に得られる年会費10260円(税別9500円)という割引が大きなメリットです。

SFCへの切り替えにおいても、年会費の差額が少なく、コストパフォーマンスに優れた1枚です。

将来的にSFC修行をするかもしれない場合

「今は考えていないけど来年あたりSFC修行をしたいな」というような場合には「ANA VISA一般カード」または「ANA Master一般カード」がお勧めです。
VISA・Masterを選択するのは、マイペイすリボへの登録と年1回以上の決済で年会費割引を受けることができるためです。

これらの一般カードは、SFC修行を行った際の切替先が存在するため、審査落ちのリスクをなくす保険的な意味合いを持ちます。
※おそらく一般カードからでもSFCへの切替において審査はありませんが、ワイドカードからでないと審査が発生するという説もあります。

クレジットカード決済でマイルを貯めたい場合

「ANA VISA ワイドゴールドカード」または「ANA Master ワイドゴールドカード」がお勧めです。
年会費割引の特典を得た上で、マイペイすリボを利用したポイント2倍のテクニック+年間300万円以上の決済で1.72%還元という高還元率を得ることができます。
年間の決済金額がさらに多い場合(およそ800万円以上)にはプレミアムカードの方が効率的になりますが、ワイドゴールドカードの方が効率的な人がほとんどかと思います。

とにかく年会費の安いANAカードを持ちたい場合

「ANA VISA Suicaカード」または「ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO Masterカード」がお勧めです。
マイペイすリボへの登録+年1回の利用で得られる年会費割引によって、811円(税別751円)まで年会費を下げて保持することができます。
SFCへの切替先がないことには注意が必要ですが、SFC修行を全く考えず、1枚とにかく維持費が安くすむANAカードを持っておきたい、という場合にお勧めです。

種類が多いので迷ってしまうところではありますが、場合によっては複数枚を持つということも選択肢に含めた上で、自分の状況に合ったANAカードを選択していけばいいかと思います。
この記事があなたのANAカード選びの一助になれば幸いです。

-SFC修行, クレジットカード

© 2024 捕らぬマイルの皮算用~知識のANA埋め~