マイルの使い方

ANA国内線特典航空券への考え方と取るためのテクニック

2016年9月16日

f:id:romulus_k:20160814130826j:plain
「とにかく取りづらい」と言われるANAの特典航空券。
特典航空券とは何なのか、普通に購入する場合とどのような違いがあるのか。
取るためのテクニックにはどのようなものがあるのか。

特典航空券への考え方と取るためのテクニックについて、今回は国内線に絞って考えてみることにします。

国内線特典航空券の基礎知識

まず、ANA国内線特典航空券とは何なのかという基礎知識をまとめておきます。
ただこれも、必要マイル数をはじめとして細かい規則が頻繁に改定されますので、常に最新情報をとらえておく必要があります。

改善、改悪どちらのパターンもありますが、それぞれの改定が改善になるか改悪になるかが人によって真っ二つに評価が分かれることも多くあります。

www.ana.co.jp

ANAの公式ページに「利用条件」がありますので、これに従って見て行きます。
※このページの情報は2016年9月15日時点での情報を元にしています。

・国内線航空券は1区間から交換できる
・搭乗日の2ヶ月前から4日前まで予約可能
・必要マイル数はシーズンと利用区間によって変動し1区間あたり5000~11500マイル
・ブラックアウト期間(特典航空券の利用ができない期間)がある
・普通席のみ利用可能(プレミアムクラスは当日アップグレードのみ)
・特典航空券での利用は、フライトマイルやプレミアムポイントの積算対象外
・発行日(予約の申込日)の翌日から90日間有効
・発行後も日付と搭乗便の変更は可能(搭乗者、区間、区間数の変更は不可能)
・払い戻しする場合は1名につき3000マイルの手数料がかかる

最も基本的なところだとこんなところでしょうかね。

一つずつ細かく見ていきましょう。
①国内線航空券は1区間から交換できる
国際線だと往復を発券する必要がありますが、国内線の場合は片道だけでもOKです。
往路は普通に旅割などで購入したり新幹線など別の交通手段を用いて、復路を特典航空券で発券する、といった使い方ができます。
マイルが往復分たまっていないという場合には、有効な選択肢と言えます。
片道をLCCで確保して、もう片方をマイルの特典航空券で、というのも旅行の費用を下げる策として考えられそうですね。

②搭乗日の2ヶ月前から4日前まで予約可能
重要なのは、予約が可能な期間です。

ご搭乗2カ月前の同一日午前9:30から搭乗日4日前まで
なお、国内線特典航空券は「空席待ち」およびご予約のない「オープン発券」はできません。

  • ※ご搭乗2カ月前に同一日が無い場合は、2カ月前の月末日
    例:4月29日~30日ご搭乗分は、2月28日(うるう年は2月29日)より予約受付
往復または2区間以上ご利用の場合
復路または2区間目以降が予約受付開始前の場合も、往路(第1区間目)と同時に予約できます。
ただし、復路または第2区間目以降の搭乗日が、往路便(第1区間目)予約取得日の2カ月後の同一日から14日以内に限ります。

ちょっと細かい記載ですが、重要なので公式ページから引用を。
特に重要なのは予約開始日「搭乗2ヶ月前の同一日午前9:30から」と、往復または2区間以上を利用の場合の「復路または2区間目以降の搭乗日が、往路から14日以内だったら同時に予約できる」という部分です。

特典航空券を取るためのテクニックについては後に詳しく記載しますが、この部分はしっかり覚えておきましょう。

同時に「4日前まで」というのも一応心に留めておきましょう。
急な予定変更などで変更する場合も、搭乗便の4日前までに変更を済ませる必要があります。

例えば火曜日に「次の土曜日の予定がないから、貯まったマイルでどっか行こうかな」と考えて予約することはできますが、水曜日に同じことはできなくなります。
「土曜日に予約している便の時間を早くしたいな」というのも、火曜日までなら空席があれば変更できますが、水曜日以降はできません。

急用が入って変更、という場合も、変更する便は4日後以降の便である必要があります。
例えば4/1に予約した4/5の便を4/4になって変更する場合は、4/8以降(=4日後以降)の便でないと変更できません。

③必要マイル数はシーズンと利用区間によって変動し1区間あたり5000~11500マイル
④ブラックアウト期間(特典航空券の利用ができない期間)がある

特典航空券の交換に必要なマイル数は「いつ」「どの区間を」利用するかによって変動します。
シーズンは「ローシーズン」「レギュラーシーズン」「ハイシーズン」の3つに分かれています。

f:id:romulus_k:20160814135036j:plain

(ANA公式ページより引用)
その年によって微妙に変わりはしますが簡単なイメージとしては「年末年始、年度末、GW、お盆はハイシーズン」というところでしょうか。
大体毎年3月頃に、翌年4月以降のシーズンチャートが発表されます。

さらに、特典航空券を利用できない期間が設定されています。

f:id:romulus_k:20160814142246j:plain
(ANA公式ページより引用)
GW、お盆、年末年始のドンピシャの日付だと、路線によっては利用できないんですね。

利用区間による変動は、早い話「遠いところに行くならたくさんマイルが必要」ということなのですが、区間マイレージによって
・600マイルまで
・601マイル~1600マイルまで
・1601マイル~2000マイルまで
・2001マイル~4000マイルまで
という4つの区間でそれぞれ必要マイル数が変わります。
このマイル数は「全旅程の距離=2区間の区間基本マイレージの合計」なので注意が必要です。
例えば新千歳空港⇔福岡空港間の区間基本マイレージは882マイルですが、全旅程の距離としてみるとこの2倍=1764マイルなので、必要マイル数は「1601マイル~2000マイルまで」のところを見る必要があるということになります。

それぞれの発着空港を見て判断する必要があるでしょうね。
自分用のメモに新千歳空港起点の場合のマイルチャートを残しておくと、
・600マイルまで
利尻、稚内、女満別、根室中標津、オホーツク紋別、釧路、函館、青森、秋田
・601~1600マイル
東京(羽田・成田)、大阪(伊丹・関西・神戸)、などほとんどの路線
・1601マイル~2000マイルまで
福岡
・2001マイル~4000マイルまで
沖縄
という感じになります。

f:id:romulus_k:20160814140626j:plain

(ANA公式ページより引用)

どこに行くかによって必要なマイル数を確認するのはもちろんですが、残っているマイルを消費するためにどこまで行けるか・・・という視点もおもしろいかもしれません。

また、乗り継ぎの場合も、それぞれの区間に対してマイルが必要です。
例えばレギュラーシーズンに「札幌から那覇に旅行に行きたい!」という場合、
・新千歳空港⇔那覇の直行便は往復20000マイルで交換可能
・新千歳空港⇔羽田⇔那覇と乗り継ぐ場合は、新千歳空港⇔羽田間の往復15000マイルと、羽田⇔那覇間の往復18000マイル=合計33000マイルが必要
・新千歳空港⇔伊丹・関西⇔那覇と乗り継ぐ場合は、新千歳空港⇔伊丹・関西間の往復15000マイルと、伊丹・関西⇔那覇間の往復15000マイル=合計30000マイルが必要
ということになります。
特典航空券は片道からでも取れるので、往路は直行便にして復路は乗り継ぎにする、という感じにもアレンジできますね。

見てわかる通り、新千歳から那覇に向かう場合、羽田乗継よりも伊丹・関西乗継の方が必要マイル数が減ります。
このあたり、同じ最終目的地でも必要なマイル数が結構変わってしまうのが今のANAのシステムの難点だったりしますね。
ユナイテッド航空のマイレージプラスでANA国内線の予約を取る場合だと、乗継があってもなくても必要なマイル数が同じだったりして目的地によってはそっちの方がお得だなあと思ったりもします。
どちらの利用条件も頻繁に改定されるので、その時々によってどちらがお得かというのは変わってしまったりしますが。

④普通席のみ利用可能(プレミアムクラスは当日アップグレードのみ)
特典航空券で予約が可能なのは、普通席のみです。
当日空港で空席があれば、9000円を払って当日アップグレードすることができますが、あらかじめ確保することができません。

新千歳⇔那覇とか羽田⇔那覇とか、SFC修行僧御用達の路線だと当日に空席があることなんてほとんどないですし、空席待ちが種別A(ANAのプレミアムメンバーかスターアライアンスゴールド)でもかなり厳しいでしょうね。
空席待ち優先について詳しくは、以下の記事をどうぞ。

www.romulus-k-anaume.net

⑤発行日(予約の申込日)の翌日から90日間有効
⑥発行後も日付と搭乗便の変更は可能(搭乗者、区間、区間数の変更は不可能)
⑦払い戻しする場合は1名につき3000マイルの手数料がかかる

このへんは関連し合っているのでまとめて。
一旦特典航空券を発行した後、その特典航空券は90日間有効です。搭乗者や区間数といった部分は変更できませんが、日付や便の変更はできます。手数料もかかりません。
区間については基本変更はできませんが、羽田と成田、伊丹と関西と神戸のみ、それぞれの間で変更が可能です。

例えば4/1に予約をしたら、6/30までは有効なのでその間であれば日付、便の変更が可能です。
この時「航空券の発行日=予約をした日」であることに注意が必要です。
上の場合で言えば、4/1に4/5の便の予約をしても、6/1の便の予約をしても、有効期限は同じく6/30までということになります。
予約開始後すぐに予約した場合には有効期限があまり長くないというくらいのイメージはしておいた方がいいかもしれませんね。

有効期限内に特典航空券を使いきれない場合、未使用特典の払い戻しという形でキャンセルになります。この場合、1名につき3000マイルの手数料がかかります。
往復15000マイルの特典航空券と交換、という一番多いと思われるパターンの場合で実に20%のマイルが無駄になってしまうと考えると、なるべく避けたい事態ですね。

特典航空券を取る場合の考え方

以上の基礎知識を踏まえた上で、本題です。
国内線特典航空券をどうとらえるか。

特典航空券の最大の特徴は、「普通運賃に近い取扱いが可能」ということです。
4日前まで、という制限はあるものの便変更も無料で、当日空港で同じ路線の別便に空席があった場合には、そちらに変更することもできます。

このへんの柔軟な使い方は、一般的な特割系、旅割系の運賃を使って旅行する場合には得られないメリットです。

マイルの価値である「マイル単価」を出す場合、国内線特典航空券のマイル単価は低くなりがちです。
1マイル約2円、という一般的な価値基準よりも低い1円台の計算となってしまう場合もよくあります。

ただ多くの場合、これらの計算は旅割75などの最安運賃と比較して計算されています。
特典航空券はどちらかと言えば普通運賃に近い種類の航空券なので、マイル単価を出すならば普通運賃と比較するのが正しいのかもしれません。
例えば新千歳空港⇔羽田空港の場合だと、タイムセールで安くなった旅割75の値段と比較してしまうと便によってはマイル単価1円切るんじゃないかくらいのこともありますが、普通運賃で考えたら往復約70000円ですからね。15000マイルで70000円。1マイル4.67円の価値です。

個人的に最も特典航空券がありがたいなあ、と思う「価値の高い使い方」は、搭乗日が近い時点での発券です。
例えば搭乗日まで2ヶ月ある状態で、予約開始と同時に特典航空券を取ったとすると、その時点では旅割75はなくても旅割55は予約可能ですからね。どのみち同じ日の同じ便に乗ると考えるなら、どうしてもその値段と比較してしまいます。

しかしこれが、搭乗まで4日しかない状態だったらどうでしょうか。旅割はもう購入することができませんし、特割でもかなり高くつきます。この時点になると、比較する対象の値段は安いのを見ても特割しかないのです。
平日働いて土日休み、という一般的なサラリーマンを想定したら、火曜日の時点で「お、次の土曜日この便空席あんじゃん。マイルで確保~」と特典航空券を確保した時にこそ、この特典航空券の価値は高くなります。
同じことをマイル0の状態からお金を出してやろうとしたら、往復7万近くかかってしまうわけですからね。

そんなわけで自分の場合、国内線の特典航空券については若干割り切って「2ヶ月先の予定は決まっていなくても、急に旅行に行きたくなった時に行ける方法」と考えることにしています。マイル単価についての考えは人それぞれですが、この使い方だったら価値が低いと言われる国内線特典航空券への交換でも、自分を納得させられるかな、と。

国内線特典航空券の確実な確保のためのテクニック

上で「予約開始と同時に特典航空券取るっていう使い方はしないかなー」みたいな全く逆のことを書いていてなんじゃいという話ではあるのですが、それでも状況によって、予約を絶対に確保したいという状況は生まれてくるものです。少しでも旅行にかかるお金を減らさないといけない、とかね。

特に特典航空券を使う場合、家族が多いとか人数が多い場合なんかはそうですね。

予約開始日については上に書いた通りですが「搭乗日の2ヶ月前の同日9:30」です。
例えば4/1搭乗の便の予約開始は2/1の9:30、ということです。
つまり2/1の9:30にパソコンに張り付いて、9:30になった瞬間に予約する、というのが通常のやり方です。

往復または2区間以上ご利用の場合
復路または2区間目以降が予約受付開始前の場合も、往路(第1区間目)と同時に予約できます。ただし、復路または第2区間目以降の搭乗日が、往路便(第1区間目)予約取得日の2カ月後の同一日から14日以内に限ります。
(ANA公式ページより引用)

しかし、上記の復路・あるいは2区間以上の予約の場合のルールがあるため必ずしもこれが最も早いタイミングでの予約にはなりません。
このルールはどういうことかというと簡単に言えば「往復で便を確保したい場合、片方は搭乗日2ヶ月前からさらに14日前に予約が可能」ということです。

往路 7/15 新千歳→那覇
復路 7/17 那覇→新千歳

上記のような旅程を組んだとします。この場合、往路の予約開始日は5/15、さらにその14日前は5/1です。また、復路の予約開始日は5/17、さらにその14日前は5/3です。

この往復の旅程を確保したい場合、以下の2つの戦略の内どちらかを取ります。
①5/1にてきとうな日付の那覇→新千歳と7/15の往路便を確保し、5/15になったら那覇→新千歳の日付を7/17に変更する
②5/3にてきとうな日付の新千歳→那覇と7/17の復路便を確保し、5/15になったら新千歳→那覇の日付を7/15に変更する

どちらの場合も、本来の予約開始日よりも14日前に往路または復路が確保されているのがわかるかと思います。片方を本来の予約開始日+14日前に確保しておき、もう片方を本来の予約開始日に確保する、という形です。
つまり勝負の日は、本来の予約開始日ではなくさらにその14日前ということです。本来の予約開始日は、乗りたい日の月から単純に2を引けばいい話ですが、さらにその14日前を知りたい場合はカレンダーを見た方が確実ですね。2行上の同じ曜日の日がいつかを確認するということです。

また①の場合において、復路を確保できるのは復路の予約開始日である5/17ではなく往路の予約開始日5/15です。この時点で、往路7/15復路7/17という旅程が初めて可能になるためです。

少しでも早く特典航空券を確保するためには有効かつ重要なテクニックなのですが、同時にこの手法において、①と②は両立できない=往復ともに2ヶ月+14日前に確保することはできないということもおわかりいただけるかと思います。
①を実践して往路便を確保した場合、5/3~5/14の間に自分とは別に②を実践する人が多ければ5/15の復路便の変更は失敗しますし、同じく②を実践して復路便を確保した場合も、5/1~5/14の間に自分とは別に①を実践する人が多ければ5/15に往路便を変更する時点で失敗します。

つまり、自分が確保したい路線において往路と復路のどちらが取りづらいか、時間帯や座席数などによって予測する必要があります。
マイルが潤沢にあって、かつ手数料の3000マイルを最初から捨てるつもりなら①と②を同時に行って後から片方をキャンセルするということもできなくはありませんが、キャンセル前提で乗りもしない便を予約するというのは、正道には反しますかね。

まとめ

特典航空券は取りづらいが、取れる確率を上げるためにできることはある。
特典航空券への考え方次第で、どのような取り方がベストかは変わってくる。

自分が乗りたい飛行機に確実に乗るためには、時には争奪戦に勝たなければならないこともあります。
そんな時に負けることのないようにするには、確実な知識を身に付けて、実践していく必要があると言えるでしょう。

-マイルの使い方

© 2024 捕らぬマイルの皮算用~知識のANA埋め~