SFC修行 マイルの使い方

もう一つの特典航空券「いっしょにマイル割」の有効な使い方

2016年9月18日

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マイルの使い道、と言えばまず第一に挙がってくるのが「特典航空券」。
それ以外にもいろいろな使い道がありますが、複数人で旅行をする場合に有効な使い方に「いっしょにマイル割」というものがあります。

マイルで費用をかけずに旅行!というものとは性質が違いますが、使いようによっては非常に有効なこの使い方を解説します。

いっしょにマイル割の基礎知識

「いっしょにマイル割」とは、ANAマイレージクラブ会員専用運賃として
・会員本人が10000マイルを消費
・会員本人と同行する3人までが、1人あたり21000円~36000円で往復できる
という形で設定されている運賃です。

www.ana.co.jp

同行者の運賃が時期と路線によって決められているのに対して、会員本人はどの時期、どの路線でも常に一律10000マイルというのが特徴です。
さらに、同行者の運賃は予約可能な間のどの時点で予約しても変わりません。

8月の一時期(2016年の場合で8/5~8/15)のみ、ブラックアウト期間となり設定がありませんが、その他は「通常」「GW」「ピーク」の3つの時期に区切られ、それぞれで運賃が設定されています。GWとピークは通常よりも運賃が高くなるというわけですが、路線によって通常期との差額が異なり、2500円だったり5000円だったりします。

ANAの公式ページに、半年(旅割等の運賃が設定される期間と同一)ごとに時期、路線の価格が運賃表としてPDF配信されています。

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上の表は、その運賃表から自分用のメモとして抜き出してみた「新千歳空港と各空港の間のいっしょにマイル割の片道あたりの運賃」です。

路線によって、通常、GW、ピークでそれぞれ価格の差があるというのがわかります。

いっしょにマイル割は、会員本人が10000マイルを消費するということから特典航空券の派生に近いイメージがありますが、特典航空券とは以下のような違いがあります。

・ANAカードファミリーマイルでは購入できない
・予約日にそのまま購入手続きを行う必要がある
・予約後の便変更は不可。ただし搭乗当日に同一区間の前の便に空席がある場合は変更できる
・予約後に解約する場合、会員本人の10000マイルは返ってこない。また、同行者の運賃も解約手数料がかかる
・同行者のマイル積算率は75%(旅割と同じ)
・同一区間を往復することが必要(片道のみの購入はできない)
・スキップサービスは利用できない

まず、ファミリーマイルは使えません。例えば夫婦でファミリーマイルに登録していてそれぞれ5000マイル持っている場合だといっしょにマイル割は使えないということです。どちらかのみで10000マイルを持っている場合は、その10000マイルを使っていっしょにマイル割で購入することができます。

次に、いっしょにマイル割は予約した日に購入手続きを行う必要があります。通常の航空券でもまあ1日か2日ですので、乗ると決めた日に買う、という形にはなりますがあまり大きな違いではないと言えるかもしれません。

次に、特典航空券と異なり予約後の便変更はできません。ただし、当日同一区間であれば前の便に空席がある場合は全員がその便に変更するということはできますので、普通運賃と旅割系運賃の中間のような取扱いになります。
解約する場合も、旅割系運賃と似たような取扱いです。会員本人のマイルは返ってこない上、同行者も購入直後から出発時刻前まで、運賃の50%相当額の取消手数料がかかります。

マイルを消費する会員本人にはマイル、プレミアムポイントは積算されませんが、同行者は旅割系運賃と同じ運賃種別7(75%+搭乗ポイント0)でマイルとプレミアムポイントが積算されます。

いっしょにマイル割の場合、特典航空券と異なり片道のみの予約ができません。往路と復路の区間を変更することもできないので、同一区間を往復することが前提となります。例外として、特典航空券と同じく羽田と成田、伊丹と関西と神戸は同一区間として取り扱われます。
このあたりは特典航空券よりも柔軟な購入ができないところで、例えば特典航空券であれば、新千歳空港⇔那覇空港の旅程を組む時に往路を新千歳→那覇の直行便、復路を那覇→羽田→新千歳の乗継便、というような形で取ることができますが、いっしょにマイル割ではこれはできません。

最後に地味な違いですが、スキップサービスは利用できません。自動チェックイン機か空港カウンターで、会員本人が同行者全員分の搭乗手続きを済ませる必要があります。空港の混雑具合によっては、若干の影響がありそうな違いですね。

以上、特典航空券と比較すると、特典航空券が普通運賃に近かったのに比較して、便の変更ができなかったり解約手数料がかかったり、いっしょにマイル割はどちらかと言えば旅割系の運賃に近い制限がかかることがわかります。また、人数の変更においても、例えば会員本人が搭乗しない場合にはいっしょにマイル割の運賃が適用されず別の運賃での予約が必要になるなどの制限があります。

利用にあたっては、「人数が確定していて」「日程も確定していて」「急な変更の可能性が低い」という条件をクリアしていないとリスクの高い運賃形態であると言えるかもしれません。

いっしょにマイル割の威力

国内線特典航空券についての記事の中で、普通運賃に近いことから「搭乗日が近くなってから、急にフライトの予定を決める」という使い方がマイル単価を高くするのに有効であるということを書きました。

www.romulus-k-anaume.net

いっしょにマイル割の予約開始日も特典航空券と同じく「往路搭乗2ヵ月前の9:30から4日前まで。復路は期間内であれば2ヵ月+14日後まで予約できる」という条件です。
ただし、一旦予約した後の便の変更ができないため、特典航空券で行うような裏ワザ「往路または復路を2ヶ月+14日前に確保しておき、もう片方を後から変更する」は使えません。

購入期限が搭乗日の4日前まで、なので、特典航空券と同じく「火曜日に、次の土曜日に空いてる便を予約して搭乗する」ということができます。
「てきとうな週末に、どっか空いてる路線を確保して1泊2日で旅行する」という使い方ができるわけです。あくまでも、空いていれば、ですけどもね。

そして特筆するべきは、この時のマイル単価が非常に高いということです。
どの路線においても会員本人が10000マイル、さらに同行者運賃も概ね旅割75の運賃と同じくらい、というのが大きいんですけど。

例えば新千歳⇔羽田空港で考えた場合。2016年4月15日時点で試算した結果ですが、

・2016年7月2日~7月3日に新千歳⇔羽田の往復を取る場合
旅割75で14390円+13490円=27880円→55760円で2人往復
旅割21で22090円+21090円=43180円→86360円で2人往復
特割で32590円+32590円=65180円→130360円で2人往復
という状況でした。

これが「いっしょにマイル割」の場合、同じ便を予約すると以下のような計算になります。
2016年7月2日は通常期なので10000マイル+26000円で2人が往復できる
旅割75と比較した場合 10000マイル/29760円=約2.98円/マイル
旅割21と比較した場合 10000マイル/60360円=約6.04円/マイル
特割と比較した場合 10000マイル/104360円=約10.44円/マイル
※特典航空券の場合、30000マイルで2人往復なので特割との比較で約4.35円/マイルの計算

特割との比較で1マイルあたり驚異の10円超えです。これ、国際線特典航空券でビジネスクラスを発券するのよりも高い単価です。
いっしょにマイル割の支払いにはスカイコインは使えないため、必ず現金の持ち出しが必要になってしまうという点はありますが、十分魅力と言えるマイル単価です。

同行者がいる、という前提があるので彼女がいる、兄弟がいる、親がいる、友人がいる、といったような「一緒に行ってくれる人」がいないと使えないというのが時には厳しいところですが、一緒に行ってくれる人さえいてくれれば、お得な旅行として大きな威力を発揮します。

現金の持ち出しを少なくするために、特典航空券を使うか。マイル単価を上げるために、いっしょにマイル割を使うか。
その時々の状況とマイルの残高によって、使い分けるのが賢いと言えそうです。

SFC会員を同行者にする利点

また、同行者には旅割運賃と同じ運賃7の種別でマイルやプレミアムポイントも積算されるというのもポイントです。
夫婦で旅行するとして、夫も妻も10000マイルを持っているとします。夫はSFC会員、妻はSFC家族会員です。そしてこの年はこの1回しかフライトしないとします。
この時、どちらのマイルを使っていっしょにマイル割を使うのが賢いか。

微々たる違いではありますが、この場合妻のマイルを使って夫を同行者にする方が賢いと言えます。
夫を同行者にすることによってプレミアムポイントが積算され、翌年度のアップグレードポイント4ポイントがもらえるからです。

同様に、どちらかがプラチナ会員だったりする場合には、積算されるマイル数が大きいプラチナ会員を同行者にする方が望ましいと言えます。
どちらにも潤沢にマイルがある、という前提ですのである程度どちらもフライトを重ねているか、陸マイラー活動をやっていないと厳しいかもしれませんが。

SFC修行として見た時のいっしょにマイル割

そして、SFC修行として見た時にもいっしょにマイル割は威力を発揮します。

例えば羽田⇔那覇の路線で考えてみた時、通常期にいっしょにマイル割を使うと10000マイル+26000円で往復できます。
いっしょにマイル割は運賃種別7でプレミアムポイントが積算されるため、この場合往復で2952PP積算されることになります。
修行したい側が同行者となれば、26000円で2952PP。PP単価8.81円です。
新千歳⇔那覇で同じ条件なら、10000マイル+31000円です。
この場合のプレミアムポイントは往復4190PPですので、PP単価は7.40円となります。

マイレージクラブ会員、それも10000マイルを持っている人と同行するという条件付ではありますが、なかなかの優秀なPP単価を弾き出します。
普段の修行は1人で行って1回2回このような形で同行してもらうだけでも、安価に修行を行うために効果的に働くと言えるでしょう。

※2016/9/22 一覧部分について追記
ただし、いっしょにマイル割を利用した場合にPP単価が優秀な路線はそこまで多くはありません。遠方にフライトする場合に、4日前まで予約可能な割にPP単価が優秀であるという位置付けになると思います。

2016年10月30日~2017年3月25日の設定で検討した場合、以下の通りです。
PP単価が12を下回る路線について、通常期のPP単価が低い順に並べています。
通常期・・・2016年10月30日~2016年12月21日、2017年1月4日~2017年3月16日
ピーク・・・2017年3月17日~2017年3月25日
※「中部国際(セントレア)」を「名古屋」と表記しています

路線 獲得PP 通常運賃 ピーク運賃 単価
通常
単価
ピーク
札幌 沖縄 2095 ¥15,500 ¥18,000 7.40 8.59
新潟 沖縄 1578 ¥13,000 ¥15,500 8.24 9.82
東京 石垣 1836 ¥15,500 ¥18,000 8.44 9.80
東京 沖縄 1476 ¥13,000 ¥18,000 8.81 12.20
東京 宮古 1737 ¥15,500 ¥18,000 8.92 10.36
大阪 石垣 1453 ¥13,000 ¥15,500 8.95 10.67
仙台 沖縄 1695 ¥15,500 ¥18,800 9.14 11.09
大阪 宮古 1359 ¥13,000 ¥15,500 9.57 11.41
福岡 札幌 1323 ¥13,000 ¥15,500 9.83 11.72
名古屋 石垣 1566 ¥15,500 ¥18,000 9.90 11.49
静岡 沖縄 1294 ¥13,000 ¥15,500 10.05 11.98
名古屋 沖縄 1213 ¥13,000 ¥15,500 10.72 12.78
広島 札幌 1123 ¥13,000 ¥15,500 11.58 13.80
大阪 沖縄 1108 ¥13,000 ¥15,500 11.73 13.99
名古屋 女満別 1107 ¥13,000 ¥15,500 11.74 14.00

どの時期のどの行先にいっしょにマイル割を使うか

以下、自分用のメモとして。
いっしょにマイル割は時期によって運賃の変動がありますが、路線によってその上がり幅に差があります。
新千歳空港からの直行便、という前提で、どの時期にどこに行くと一番得と言えるかという検討をしてみたいと思います。

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先ほどの表を、通常期との差額ベースにするとこうなります。
例えば仙台なんかは、通常期に比べてGW期、ピーク期だとプラス5000円の運賃となりあまりお得ではなくなる気がしますね。
逆に通常期であれば、仙台はお得に行くことができる行先、という考え方もできそうです。
GWに旅行するなら、通常期と差額のない東京、大阪、名古屋、静岡あたりが第一候補でしょうか。
ピーク期はどの路線も通常期より高くなりますが、プラス2500円でGWもピークも変わりない福岡、沖縄あたりがよさそうですね。

行き先を決めてからでの旅行ではなく、時期を見て「そうだ仙台へ行こう」「そうだ福岡へ行こう」という形の使い方もまあ、アリだなあと思います。

まとめ

いっしょにマイル割は、使い道次第で非常に優秀なマイル単価、PP単価となります。
使用に条件があるためマイナーな面がありますが、賢く利用することによってより効率的なANAの利用が可能になるでしょう。

家族や恋人、友人などにマイレージクラブ会員がいる場合には、相談・検討してみてはいかがでしょうか。

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